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ドラえもん のび太のハチャメチャ入学式

2011/3/25 わさドラ のび太のハチャメチャ入学式 の感想です。

アメリカではスリーマイル島原発事故後、新たな原発は建てられなかった、ということは。原子力で動いているドラえもん終了のお知らせ。これでは2112年にドラえもんを作ることが難しい。

調べてもよくわからんが、いまよりもずっと安全が確保された原子力なのかな。そもそもウラン食べてないし。もしかしたらドラに搭載されているような安全な原子力が発明されるまでいくつもの犠牲が…!

わかりやすいSF作家比較「原発事故をどう解決する」。E・E・スミス「科学者が唐突に超技術を発明」。ホーガン「科学者が百ページにわたる議論を繰り広げて超技術を開発」。クラーク「エンジニアが百ページにわたる試行錯誤を繰り広げて現実的な解決策を見つける」。レムとバラード「解決しない」。.
SF作家別「原発事故をどう解決する」:Togetter

レムとバラードに吹いた。この2人なら普通にありだ。

上田早夕里「原発自体はどうにもならんから人類のほうを放射線浴びても問題ないように操作する」これ追加。

人類に進化なんてものはない。ただ、適応があるだけよ。環境への過剰な適応がね。
(上田早夕里『火星ダーク・バラード』, p26)

そんなものなのかな。

のび太のハチャメチャ入学式(アニメオリジナル)
脚本 相内美生/絵コンテ 西田健一/演出 吉野芙紀/作画監督 嶋津郁雄


もしかして視聴者から募集した入学式のエピソードっててつやくんともとみちゃんですか。もっと具体的に絡めてくると期待した私がバカでした! 福山雅秋で学んでおくべきでしたね。あ、いや、それはともかく。てつやくんともとみちゃん採用おめでとうございます。

トイレに行って戻ってきたらだーれもいない。それ私でも泣いて帰る。悲しすぎる。そして、窓からポイ棄ての法則ダンプカーの法則(ドラ・パターンさん参考)の連鎖によりランドセルまで奪われるのび太。入学式でこんな仕打ちはひどすぎる。でも、それでのびジャイの友情が深まったのなら結果オーライ。

ではなく。

ふろくを持っていくなんてひどいよジャイアン。小学生にとってふろくは本そのものより大事なことだってあるんだから。結局ふろくぶんどられて終わる以上、いい話に見せかけて全然いい話じゃないような気がする!

幼少時ののび太役は大原さんのまま。一時期演じていた門脇さんはお役御免になってしまったのか…? 大人のび太も大原さんが演じていたり堀秀行さんが演じていたりよくわからんな。前回の結婚前夜ではのび太も出木杉も同じ声優が演じていたけど、結構あれ無茶では。それほど違和感はなかったけれども。

あと、さりげなくかかずさんがうまいな……。あの舌っ足らずな感じがいい。というか幼少時のしずかちゃんかわいい。もっとだせ。

と・こ・ろ・で。今の時期は卒業式シーズンではないでしょうか! なぜに入学式。本来4月にドラを放送する予定なかったから前倒しとか言わないで。

先日、私も避難所としてお世話になった近くの小学校で、卒業式が行われていました。こちらはまだライフラインが完全には復旧していない、ガソリンは手に入らない、スーパーには行列という混乱状況が続いています。

でも、笑顔の小学生と親御さんを見て私もうれしくなりました。卒業式が中止となった学校もあるかと思いますが、全国の児童生徒学生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。

最近は宅配便やコンビニのトラック、ゴミ収集車という日常を見るだけで楽しくなります。いまは、そんな日常。

あ、ヤマトさんから藤子全集が来た!

次回4/8の放送は「きこりの泉」「動物変身ビスケット」です。
再来週には、L字テロップ無くなるくらい落ち着かないかな。うちの地域は被害が大きいから無理かもしれないが……。

ドラえもん 好きでたまらニャい/のび太の結婚前夜

2011/3/18 わさドラ 好きでたまらニャい/のび太の結婚前夜 の感想です。

皆さん、瀬名秀明先生のご無事をもう少し喜んでもいいんじゃないですかー! と誰にともなくさけぶ。苦手な瀬名作品が多くかつ小説版ドラの出来が不満な私がとっても喜んでいるのはどうなのか。

瀬名さんの小説版ドラとインタビュー読んでなるほどで終わらせるとかないよね。ということでNOVA3の「希望」を三たび読む。ようやくわかってきた。これ凄いじゃないか! 気づかなかった私のバカ!

「希望」の設定で「神」とか「共感」とか、鉄人兵団にまわせそうなものもあるのになー。やっぱり残念。ま、それは次回作読めばいいや。

というかもしかして瀬名秀明資料特集展終わり? 終わりなの!? Brain Valleyの資料を是非見に行きたかったのに!!! 瀬名さんのサインをもらってくるはずだったのに! ついでに楽しみにしていたNHKの芸術劇場は最終回を待たずに終わっちゃうし……もー地震いやだ。

さて。私のすぐ横にあるのは床に散らばった青背に紫背に黄背の本の山。当然そのなかにはドラも混じっている。

耐震対策で本棚自体は倒れなくても、本が散らばらないという保証は無いのです。中の簡単な可動棚が全部ぶっとんで、本も全部ぶっとんでしまいましたからね。

……そろそろ片づけるか。原作チェックできないし。

好きでたまらニャい(原作:7巻 本放送:2005/6/17)
脚本 高橋ナツコ/絵コンテ・演出 玉野陽美/作画監督 針金屋英郎


強~いイシに続いて再放送だけど、大丈夫かな? えっとそのスタッフさんの給料とか。

原作でも屈指のアレな話。私も大好きです。これアニメだとテンポおかしくなるんじゃないかと思ってたけど、全然問題無かった。むしろ皆さん表情がくるくる変わってアニメのほうが楽しいくらい。

原作の間を見事に再現する演出の玉野さんすごいなー。しかし、玉野さんはどうも「のろいのカメラ」を担当したあとお亡くなりになったとか。残念です。

このころはのび太役の大原さんの演技力不足が目立つ……。これだけ聞くとこのひと起用して本当に良かったんだろうかと思うくらい。しかし、6年経ったいまは。

大原さんを抜擢したドラスタッフは賞賛されるべきだと思います。松岡由貴(Never7/My Merry May)・下屋則子(Ever17)を発掘したKIDに匹敵する。この3人の仕事があまり無いのは個人的に謎。大原さんがのび太専なのは本人の希望なのかもしれないけど。

のび太の結婚前夜(原作:25巻)
脚本 水野宗徳/絵コンテ・演出 腰繁男/作画監督 丸山宏一


ストレートに言うけど、結婚前夜の原作ってそんなに傑作ではないと思う。結婚前夜やぼくの生まれた日を名作にしたのは渡辺歩さんの力が大きい。

旧作にこだわって原作の解釈、原作の可能性を自ら狭める必要は無いから、アニメスタッフさんには批判なんて恐れずガンガンやってほしいと思う。私はそれこそ、原作の感動回をギャグ回にしたっておもしろければ全然問題ない。

ということで、今作はのび太に集中したなかなかおもしろい解釈だった。パパとの会話のところでイヤリングを探すのび太を見せ、ラストに繋げる。ついでに序盤の劇までエピソードに使って、細かいな。

ドジっ子のび太やかっこいい出木杉を出すことで、微妙に見せるしずかちゃんの不安の表情を上手く生かしていたのが好印象。あと、いちいちドラはひどい。

今回は選曲も良すぎ。パパとの会話で「キミのなかののび太」、ラストで「キミが笑う世界」が流れてうおーっとなった。

ただ、ひとつだけ残念だったこと。しずママにほとんどスポット当たってない……。そのうち源家、とくにしずか&しずママメインの話を希望。しずママだけわさドラで地味なんだもの。ここは寺本さんの出番です。

最後に。私は小学生の時点で将来の結婚相手知るなんてやだー。

ピッポはいまだに宣伝部長おつかれさまです。いつ映画2回目見に行けることやら。そもそも行けるのか。いつも行く映画館の天井が抜けたなんて不穏なうわさも聞いたが……。

次回3/25の放送は「のび太のハチャメチャ入学式」です。
ここ2年、この時期は再放送枠。再放送をカットしてこの枠を利用かな?

上田早夕里『華竜の宮』

華竜の宮 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)こんなときこそ、この作品のレビューをせずにどうする。

阪神・淡路大震災の起こった1月17日に上田先生がTwitterで少しだけ語り、27日にあのMy Merry Mayの松岡由貴さんが朗読劇『ドッカンぐらぐら』の舞台に立ち、2月22日にニュージーランド地震。いやはや、この作品は、読まなきゃなと。

読んでよかったです。それから10日後くらいに、震度6弱の地震に巻き込まれて2日ほど停電してたとき、私のバイブルMy Merry Maybeとともに支えとなった作品でした。ということでレビュー。

「すごいな上田早夕里。これほどスケールの大きな小説を書く作家になるとは思ってもいなかった。いまはただただ、感服である」北上次郎:読売新聞書評

まったくだ。デビュー作の『火星ダークバラード』からこんなんなるなんて想像できるわけがない。

ところが、これ、やっぱりというか、「火星ダークバラード」って作家になるため及第点を取るためにいい子振って猫かぶっていただけで、本書(『魚舟・獣舟』:引用者注)で、才能が全面に開花。
魚舟・獣舟:個人的読書

そうかっ! そういうことだったのかっ。納得した。

『SFが読みたい! 2011年版』で国内ダントツ第1位なこの話をとっても簡単に説明すると、人類が遺伝子操作でいろいろ変わっちゃって、いろいろなひと、いや生物がそれぞれ生きる時代に、各国でいさかいが起きる。それを止めるために外交官の青澄が奮闘する物語。

……地味だ。確かにあらすじ自体は地味かも。でも、スケールはハンパない。これと世界観を同じくする短編「魚舟・獣舟」をお読みになった方ならわかるはず。

私はプロローグだけを読んだあと、いったん読むのを止めて表紙を10分くらい見つめてしまいました。こんな凄い世界をこれから存分に楽しめるのかと!

話の筋はさっき説明したとおり。でも、その過程でいろいろなことを考えさせられた。命って何か。人間って何か。進化って何か。

でも、作者が一番言いたかったのは命の大切さ、かな。私の大好きなMy Merry Maybeと同じ。

私はMy Merry Maybeに感激してロボットものをいろいろ読んだけど、どれもぴんとこなかった。で、『華竜の宮』 共通の設定は、仲間にロボットが出てくるくらい。あとは何もかも違う。でも、両作品の底に流れるのは「生きる」こと。

これかも…! 初めてそう思える作品に出会えたような気がした。

上田さんはマイメリプレイしてないと思うし、当然マイメリ愛なんてあるわけない。それでも、私はマイメリファンとして『華竜の宮』が大好きになった。

私の大きな評価ポイントはオチ。いろいろ問題になっているこの時代によく書いたと思う。正直なところ、素直に納得はできない。そこまでして生きる必要あるのか? と。

でも、これは書いたこと自体を評価すべきだと。だって、こういうのごまかす作家がものすごく多いんだもん。命をテーマにしたのはいいけど、最後は悪役が常識的に考えてやばいことして捕まって終わりな小説。もしくは「結論:わからない」な小説。

私はこういうのが大嫌い。テーマに掲げた以上ちゃんと書けと。そもそも、賛否両論な結末のほうがおもしろいから。納得はできないからこそ、考えさせられる。物語なんてそんなもの。伊藤計劃でも同じことを思った。

この作品を書いた上田先生が凄いのは言うまでもないんだけど、個人的にもっと凄いと思うのは異形コレクションで「魚舟・獣舟」の編集を担当した井上さん。

井上雅彦さんは、SFやホラーやファンタジーの新人がデビューすると、すぐに作品をチェックなさっているようです。(中略)私は「進化論」が回ってくるまで「待ち」の態勢になっていたそうで
上田早夕里(@Ued_S)/2010年04月21日 - Twilog

この話を聞いて、私に編集者は向いてないと思った。たしかに、『火星ダークバラード』の「環境への過剰な適応」は心に残るセリフだったけど、これをヒントに進化論テーマの作品に誘うとか絶対無理だ。

『華竜の宮』 読め。いまこそ。

魚舟・獣舟 (光文社文庫)
魚舟・獣舟 (光文社文庫)『魚舟・獣舟』もよろしく。読む順番はどちらでもいいです。発表は魚舟→華竜の順。ただし、構想は華竜のほうが先だったとのこと。私は『魚舟・獣舟』は表紙だけで買う価値があったと思う。

私が『華竜の宮』で一番印象に残り背筋が凍ったシーンは、獣舟の巣から人間の子が出てきて……、のところ。その怖さ、短編集でも健在。
タグ: 本・SF

映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 -The Only Neat Thing To Do-

寺本監督、凄っ! 結論。すばらしかった。

DVD発売が待ち切れず映画を盗撮してきたいくらい本当によかった。(もちろんしてません) ドラはそろそろ映画だけでもブルーレイを出すべき、とこの作品を見て心底思う。特に大山ドラのDVDは画質悪すぎる。もうDVDは廉価版が出てるんだしいいんじゃないの?

私の中では新魔界と双璧。正直、どっちがいいとは言えない。ということで新魔界と新鉄人は映画ドラのTOP2となりました。(ちなみに私は大山ドラ好きじゃないのでそういうことでよろしく)

あとリルル役の沢城みゆきさんとピッポ役の小林由美子さんの演技力に驚愕。全然知らない声優さんだったんですが、こんなに凄い方だったのですね。お二人が完成度を上げたのは明らか。この点は新魔界よりもずっと上。

とりあえずな感想なので、2回目も見て適当に加筆していく……はずだったのですが。私の住んでいるところに地震がクリティカルヒット。おそらく2回目は無理。

しょうがないので覚えている範囲で書きます。細かい間違いがあったらごめん。DVD出たらあれこれ確かめます。

やっぱりこれブルーレイで出すべきだ。被災して映画館で観れなかったうわーんな方ほかにもいるかもしれない! BD希望は公式に出しておきます。共感する方もぜひ公式に意見してほしい。

では、以下ネタバレ。

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ドラえもん ロボット・ボロよ、永遠に

2011/3/4 わさドラ ロボット・ボロよ、永遠に の感想です。

重要なことに気付いた。映画が原作通りじゃないとダメな藤子ファンはもう少し周りを見て、いつも原作から変えられるフィリップ・K・ディックファンの私の立場ってものを考えなさい!

「アジャストメント」はP・K・ディックの短編「調整班」が原作ですが、予想通り共通点はほぼゼロ。「NEXT」と「ゴールデン・マン」ぐらい(またはそれ以上に)違う。これなら、スタージョン「昨日は月曜日だった」が原作だと言っても通るな。大森望:Twitter

なんですとー!!! あ、「昨日は月曜日だった」好きだから全然問題無し。

ユービックが映画化されるかも、ってことでディック好きな私は燃え。今度、初訳短編が出るとかでやっぱり燃え。ブレードランナーが好きな方も、藤子SF短編が好きな方も、ディック原作をよろしく。ただそれが言いたかっただけです。

ロボット・ボロよ、永遠に(アニメオリジナル)
脚本 大野木寛/絵コンテ・演出 安藤敏彦/作画監督 丸山宏一・田中薫・吉田誠


やっぱりストーリー重視かつ感動ものは1時間あったほうがいいな。

とりあえずスネ吉兄さんとラジコンマニアの悪役兄さんが超すごいと思うんですが気のせいでしょうか。ドラえもん世界だとそうでもないのでしょうか。特にスネ吉兄さん、普通にボロよりもすごいの作ってないですか?

安藤さんでこういうあからさまな悪役出してくるってめずらしいな。「シンデレラはどこいった?」の芸能プロデューサーみたいに怪しいけどいいひとでくると思ったのだが。それは宇宙開発のお兄さんに回したか。

が、しかし。あの悪役お兄さんスッパリカットしても良かったんじゃないか? 宇宙開発のお兄さんの見せ場は悪役から助けるシーン無くても他につくれただろうし。せっかく1時間あったのに、中盤に時間をかけすぎてボロとの別れが唐突になってしまったのが残念。

でも、ディティールがいろいろ描かれていて感情移入もいつもよりしやすかったのでおもしろかった。宇宙に行くのははやぶさ効果かな。私は序盤で、ボロの人工知能を積んで一生地球を見守っていくのだろうか!? と思ったけど、さすがにそこまでSFじゃなかった。

しかし、きょうの話がおもしろいかおもしろくないかなんてささいなこと。明日の新鉄人兵団できょうの話のことはほとんど忘れてしまうこと確定なのだから! 安藤さんごめんね。

たまには公開日に行くとしよう。例年は月曜の夜にほぼ貸切状態でのんびり見るんだけど。ま、必要なら2回見に行けばいいや。寺本さんだから問題ない。

新・のび太と鉄人兵団
ママに投げつけられているボーリングジュドがかわいそうです! ママ、やめてください! あれも生きてるんだよ! ママに襲われながらも頑張って生きてるんだよ! なんて感動もの。……ピッポ状態じゃないのに感情移入してしまう人間ってすごいと思った。もしかしてかわいそうに思ったの私だけか。

それ関係ないの、があってうれしい。ここ重要シーン。あいかわらず私はここで爆笑。ここも私だけなの!? いや、作品内の状況的には笑うシーンじゃないんだけど……でも、作者の意図としては、「それ関係ないの」「ポチッ」はギャグじゃないの? 

このシーンは大山版のほうが笑えたかな。野村さんのさりげない演技が強烈すぎて。まあどっちも良いです。ちなみにこのシーンは前に語ったのでくわしくはそっちで。:それ関係ないの

一番印象に残ったのは、リルルが涙を流す一瞬のシーン。どこで使われるのか楽しみ。リルルが傷ついたピッポを抱きしめる設定画を見るかぎり、私はリルルに「思いやりの心」が無いとは思わないけどね。

思ったよりネタバレが無くて良かったー。まあ、最強のネタバレは12月の予告編に入っている「あなたが消えてしまう」だと思うんだけど。リルルの自己犠牲は原作や旧映画を未読でも予想できるとしても、半透明になって「消えてしまう」はないでしょ! さいてー!

そういえば新魔界でも公開前にメデューサの石になる魔法をネタバレして! まったく。まさかこれミスリードとかじゃないよね。新開拓史みたいに変えてくるとかないよね!?

今年は予告編ロングバージョンは無し? ありました。YouTubeですがテレビ朝日公式のものと確認できたのでリンクします。
新・のび太と鉄人兵団~はばたけ 天使たち~ 予告動画:YouTube

次回3/11の放送は「のび太のハチャメチャ入学式」です。
視聴者からの入学式のエピソードを採用して、ジャイアンの名セリフに絡めるとはなんかすごいかも。

瀬名秀明『小説版ドラえもん のび太と鉄人兵団』

小説版ドラえもん のび太と鉄人兵団ドラマニアはニヤニヤ楽しむために買い。SFファンを含むそのほかの方は回避でOK。小説としての出来はあまりよろしくないと思います。

瀬名さんが藤子Fさん大好きなのはとってもよくわかりました。もちろん前から知ってるけど、それが裏打ちされた作品。

他藤子作品からゲストがでたり、リルルのはだかをしつこく描写していたり、他大長編のエピソードを取り入れていたり、ついでにしずちゃんだったり、どんだけよ。まあ、わかる私も私だが……。

でも、それが物語に生かされているかというとNo。「俺知ってるぜ!」と言いたい感満載でむしろ話の流れを阻害しているかと思います。

藤子Fとはあまり関係ない部分でオリジナルの部分は、2点。
・他作品からのゲストがからんだ後半のコンサート。
「家を空けていて親が心配しているのでは?」という発想から生まれた展開なんですが、なくても話通じます。単なるつけたし。

あとコンサートの部分、筆力足りてないです。ここは映像化すべきもの。

・四次元ポケットや鏡面世界のSF考証がやたら細かい。
「四次元空間は、(中略)分子反応は平衡状態を維持したまま」(p244)
「鏡面世界に入り込んだ知性主体に残された余剰のベクトルはy軸であり」(p90)
のようななんかすごいことが書いてあります。部分的にはハードSF。

しかし、小説版鉄人兵団の構成自体はハードSFでもなんでもなく、基本的に原作そのままのファンタジー寄りな話なので、やっぱりつけたしレベル。むしろ浮いてる。だから、SFファンにはすすめません。

この原作そのままというのがはっきり言って致命的。コンサートとSF部分が物語全体としては機能してないから、瀬名さんの原作に対する解釈が見えてこない。

一応補足させてもらうと、おそらく、瀬名さんが書きたかったのはシンパシーにとどまらないエンパシー。「リルルが女の子の姿をしているから、勝手に同情しているだけ」(p175)や「地球人と共感(シンパサイズ)」(p254)というセリフ、そしてp307で博士がリルルに語ることばでテーマをまとめたと私は解釈しました。

その問題提起はとてもよいです。が、結局原作のままだからそのテーマが深まらずに終わってしまった印象が強い。

一方で、映画の新・鉄人兵団は寺本さんの解釈がはっきりと見えた。これは、思想は違うが根本的には変わらないどうしの異文化コミュニケーションの話だと。だからよけいに小説版がスカスカに思える。

ついでに文章についていわせてもらうと、文章の流れなさが異様に気になったんですけど。特に気になるのが文末に変化がないこと。「~ていた」という文末が5回続くってなんですか。(p216)

それと、リルルは心情描写不足。せっかく小説というメディアでだすのだから、ここはきちんとやってほしかった。

文句ばっかりですが、文句いいたくなりますよ。だって知ってるから。似たようなテーマで瀬名さんはもっとすごい作品を書けると。ということで推薦。『NOVA3』収録「希望」

神・9.11・感情移入・共感――などなど、鉄人兵団のエッセンス目白押し。そういえば、小説版ドラp58の世界貿易センタービル崩壊の描写はゼロ年代SF、具体的には伊藤計劃の影響か。もっとも、新鉄人もそれっぽかったし瀬名さんがSF作家じゃなくても9.11のように描いたかな。

それと、『パラサイト・イヴ』『BRAIN VALLEY』『BRAIN VALLEY 研究序説』おもしろかったです。『ロボットとの付き合い方、おしえます。』ロボットを考えることは人間を考えることととらえているのが瀬名さんらしくていいなと思いました。『世界一敷居が低い最新医学教室』そのうち読もうと思います。文系のための科学本棚で薦められていた『きちんとわかる巨大地震』手に入りそうなのでこれも読みます。角川はしょうがないですが新潮の本も絶版多くて困ってるんですけど。『サイエンス・イマジネーション』読みたいんですが文庫落ちとかないですよね。しませんよね。仙台文学館の特集展楽しみだったのに残念でした。これからノンフィクションやめて小説に専念するということで期待してます。

以上。

とか言ったら「本当の読者はどこにいる?」と瀬名さん大まじめに悩むのだろうか。検索してみると、他では小説版ドラの評価が高いようだからなおさらね。まあ、もしここを読んでいらっしゃったら悩んでください。

ということで、次こそ『ブリキの迷宮』を原案にして神林長平先生にノベライズさせるのだ! 全然ドラえもんじゃなくなると思うけどねっ。

ロボットもので残りの『ブリキの迷宮』と『ロボット王国』は神林長平と菅浩江でわけあうべき。菅先生のロボット作品は名作だと思うの。それとオリジナル枠で有川浩。『空の中』風のジュブナイル。これだー!

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映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団
瀬名秀明『BRAIN VALLEY』菅浩江『五人姉妹』有川浩『空の中』

瀬名秀明『BRAIN VALLEY』

BRAIN VALLEY〈上〉 (新潮文庫)ひとつ瀬名秀明さんに謝らなきゃいけないことができました。

瀬名さん、前にネガティブな言及してごめん! 『BRAIN VALLEY』ものすんごくおもしろかった! 単独エントリあげるので許してください。

私にこの話を説明するのは無理。脳を突きつめていって神とか臨死体験とかUFOとかその他もろもろに理屈を付ける不思議な話。正直よくわかんない。わかんないけど後半のパワーは圧巻としか言いようがない。凄いよこれ。笑うところじゃないのに、思わず笑っちゃったもん。

コニー・ウィリス『航路』で臨死体験に興味を持った方にもおすすめ。NDEという言葉が出てきたときにはちょっとニヤリ。:『航路』感想

ただ、ウィリスは小説でしかできないことを小説でやったのに対し、瀬名秀明は小説の皮をかぶった科学ノンフィクション風なのでウィリスの作風そのものが好みの方は回避したほうが無難かも。

特に前半は説明が多くて挫折する方も多いと思います。ってこれウィリスにも当てはまりますね。『航路』も前半で長々とした無駄な話を聞かされ挫折した方いるのでは。そのようにした意味はちゃんとあるんだけど、やっぱりキツいよね。

もっとも、私は『航路』『BRAIN VALLEY』ともに前半から好きですが。もしかして少数派?

瀬名さんは『八月の図書館』から作風が変わったのかー。

「パラサイト・イヴ」で手に取り、「BRAIN VALLEY」で興奮し、「八月の図書館」で失望した人はけっこういると思うんですが、私もその口です。
つぐみとひばり / 瀬名秀明 - 誰が得するんだよこの書評

どうやら私もこのタイプらしい。イーガンは「ぼくになることを」派だし。

あれ? 瀬名さんTwitterやめた? ……まあ、瀬名さんにTwitterは向いてなかったと思うんだ。だってこのひと真面目すぎるんだもの。

そもそも、作家のTwitterは感情がTwitterのほうに流れていきそうで心配だ。現実を変えるのはいつでもリアルに繋がるものにしかないので、想いはリアルに流通する作品にぶつけちゃってくださいな。ネットは単なる遊びです。

よし私いいこと言ったにちがいない!

メールやネットで"気"を吐き出しすぎると、それで文字通り気が済んでしまってせっかくの才能を浪費する結果になりかねません。どんなことでも、思いの丈は作品のために取っておくべきです。
『ミステリーの書き方』, p14, 執筆:福井春敏

……。

うわーん。すでに書かれてた。
タグ: 本・SF

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