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フィリップ・K・ディック『アジャストメント』

アジャストメント―ディック短篇傑作選 (ハヤカワ文庫 SF テ 1-20)ディック原作の映画『アジャストメント』公開を記念してひさびさに新ディック短編集が出版されました。

去年の『未来医師』につづきめでたいことです。未来医師はあまりおもしろくなかったけど。:『未来医師』感想

大森望 Ohmori Nozomi『アジャストメント―ディック短篇傑作選』

収録作一覧はここにあるとおり。「アジャストメント」は新潮文庫『悪夢機械』収録の「調整班」の改題なので、初訳は「さよなら、ヴィンセント」のみ、文庫初収録はプラス「人間とアンドロイドと機械」(講演録)となります。

まず、初ディックの方には文句なしにおすすめする短編集です。ディックデビュー作「ウーブ身重く横たわる」のようなユーモアあふれる作品から、「父祖の信仰」のようなドラッグはいってちょっとおかしくなった作品までせいぞろい。

しかも全部おもしろい。個人的には大好きな「電気蟻」の収録がとてもうれしかった。これ一作で買いでいい。下手すると表題作の「アジャストメント」が一番インパクトないかも。それでもやっぱりおもしろい。

これ一冊でディックはだいたいつかめるのではないかと思います。

そして、ディックはほとんど読んでるぜ! ということで「さよなら、ヴィンセント」「人間とアンドロイドと機械」を目当てに買うべきかどうか迷っている方もいると思います。私もそうでした。

断言します。買いです。

なぜなら、エッセイの「人間とアンドロイドと機械」がある意味一番おもしろかったから。これをいれた大森さんは本当にえらい。

ディックの人生を知らなくても、作品を読んでればこのひとなんかどこかおかしいってわかると思うんですよ。「人間とアンドロイドと機械」を読めばそれが再確認できます。このひと頭のねじがはずれてなんかへんなほうにぶっとんでるよホント。神がかってる。それがすばらしいね。

内容はさっぱり理解できなかったけどおもしろかったです。ディック最高。

ちなみに「さよなら、ヴィンセント」は8ページのショートショート。不思議な読後感をのこすファンタジー? 結構好きですがよくわからないところがあります。

実質、『アジャストメント』は「人間とアンドロイドと機械」が読みたいかどうか一択でいいかと。

『アジャストメント』を読んでもっとディック短編を読んでみたい! という方には。
P.K.ディック SF作品レビュー:Silverboy Club
いろいろな短編集がでていますが、こちらに載っている作品を買えば「全部読んだことのある短編だった!」ということはないです。

ちなみに現在も重版されているのは、『ゴールデン・マン』『まだ人間じゃない』『マイノリティ・レポート』『シビュラの目』、それとすべて再録になりますが『ペイチェック』です。

この中だと、『ゴールデン・マン』『まだ人間じゃない』をおすすめ。『シビュラの目』はディック短編集ではいまいちか。

ユービック (ハヤカワ文庫 SF 314)長編に興味があれば『ユービック』を。ディック長編は神がかったわけわかんない作品もあっておすすめしづらいんですが、ユービックは長編のなかではかなり読みやすいので初心者にぴったり。

すこし前まで在庫切れになっていて、絶版になったのかとびくびくしていたら、ディック仕様の新カバーで再登場です!(書影:ユービック:ハヤカワオンライン

今回はディック短編集をだしていただいてハヤカワさん本当にありがとうございました! 今後も短編集を出版される予定だそうなので、ぜひ、未訳の"Mr.Spaceship"と"Prize Ship"もお願いします。このさいバラでだされても文句はいわない。

(それと私が好きな『地図のない町』再販していただけないでしょうか、とひとりごと……)

最後に。私にディックを教えてくださった翻訳者の浅倉久志先生に心からの感謝を。
タグ: 本・SF

ドラえもん カワウソのび太の大冒険

2011/5/27 わさドラ カワウソのび太の大冒険 の感想です。

カワウソのび太の大冒険(アニメオリジナル)
脚本 藤本信行/絵コンテ・演出 鈴木孝義/作画監督 鈴木まりあ


なんか妙に声優が豪華な気が。
(ユータ:堀川りょう キュー:神田朱未 江戸時代のカワウソ:渡辺久美子)
きっとカワウソを愛らしくするためにちがいない。現にだきしめたいくらいだった。

しかし、きょうの話プロットがおかしくない? 現代からすればカワウソがたくさん住んでいるところは楽園かもしれないけど、作中でもいっている通り江戸時代にはカワウソが普通にいたんだし。

まあ、「楽園」は江戸時代でも特別カワウソたちが住みやすかった場所ということなんだろうけど、それが現代まで残って絶滅したカワウソがいまだにいるというのはちょっと安易なのでは。

そもそも最初の江戸時代のエピソード抜かしても成立しませんかこの話。追われてとりあえず上流に逃げるときに「楽園」を見つけたことにして、カットした分をもっとカワウソとの交流に使ったほうがよかったと思う。

それとこの手の環境問題を扱ったおはなしは食傷ぎみ。結局、一部のカワウソたちを救えただけであって、根本的な問題はなにも解決してないんだよね。たまにはもっとマクロな視点から環境問題をとらえたおはなしを私はとてもみたいです!

え、30分じゃムリ? そこをなんとかプロのみなさんが!

……雲の王国はイヤな意味でマクロだった。もうあれイデオロギー対立の問題になっていてもうこわいこわい。もっとこわいのを読みたい方に、バラード『楽園への疾走』をおすすめしてみる。さらに変な方向にいきます。バラードは天才だ。:『楽園への疾走』感想

書くことあまりないのでネガティブな感想になってますけど、今回はカワウソとアライグマがかわいかったからいいのです。かわいいことは正義なのです。楽園のカワウソたちなんて最高。うちにも一匹ちょうだい。

次回6/3の放送は「ねがい星」「モテモテール大作戦」です。
願い星、叶い星。

ファイナルファンタジーXIII 総合

ファイナルファンタジーXIII アルティメットヒッツインターナショナル突然ですがゲームの話。私はPS3もXBOX360も持ってませんが、運よくファイナルファンタジーXIII、オリジナル版とインターナショナル版両方プレイに成功。

それで、どーしてもいいたいことができた。

インターナショナル版の字幕が日本語版の流用なのはおかしい!


しゃべっていることが日本語版からかなり変わってる。英語ボイスはセリフの流れが日本語版より自然で、キャラクターの印象自体が良い方向に変わった。英語が苦手な私でもそのへんわかったから、相当改良されているはず。なのに字幕が日本語版のままっていうのはどう考えても手抜き。

この点についてアマゾンに完璧なレビューがあったのでリンク。
英語が出来る人には本当にオススメ:ファイナルファンタジーXIII インターナショナル

上のレビューでコメントされているのは第10章のファング召喚シーンですね。

Fang: Why are you protecting me? What are you doing?
Lighting: Protecting one of our own......I'm fighting this Focus to the end.We all are.So please...Fight with us.

となっており、"one of our own" "We all are" とみんな想いは同じというニュアンスがでていて確かに日本語版よりよかった。

ほかにインタ版で好きなシーン。第7章でファングがライトニングの胸を開けてしるしを見るとき、

Fang: Don't be shy.
Lightning: ...OK......

と答えるライトさんがとてもかわいかったです。ここはインタ版オリジナル。

あとは第4章のライトニング召喚シーン。

Lightning: I'm sorry,but I can't protect you when......
(戦闘後)
Lightning: I'm sorry about before.

と「悪いが、おまえの面倒を見ている余裕はない」→「言いすぎた。さっきは、すまなかった」の「悪いが」「すまなかった」の訳が両方ともI'm sorryで、同じ言い回しを使うことで対比にしてるのならおもしろいと思った。偶然同じだけかもしれないが。

ちなみに"Hey,Sis" "I'm not your sister"は英語版でも健在。(ただしライトニングへの呼称はだいたい"Lightning")

訳比べ楽しいのでFF13好きなら積極的にリスニングするべき。

小説 ファイナルファンタジーXIII エピソード0 -約束-小説版『ファイナルファンタジーXIII エピソード0 -約束-』もついでに読みました。感想を端的にいうと、

なんでこれ本編にいれてないんだよ!


つーか本編よりおもしろい。心情描写が不足気味でぶつぎれ感がどうにもぬぐえない本編にくらべ、小説では心情が細かく描かれていて、とても感情移入しやすかったし、ゲームのあの場面はそういうことだったのか! とゲーム内でわかりにくかったところまで納得できました。やる前に読んでおけばよかった。

この小説に収録されている3エピソード(ライトニング&スノウ&セラ・ホープ・サッズ)は公式サイト(音注意)で公開されているので、そちらを見ていただくとして。

新規収録の4エピソードの1つ「PRESENT -贈物-」はセラがライトニングへの誕生日プレゼントを選んでるあいだ、スノウがプロポーズのためのプレゼント何にしようかうだうだ考えている話で、それほど重要じゃない。

問題は、あとの3エピソード「STRANGER -異邦-」「SEARCH -捜索-」「TOMORROW-未来-」ヴァニラ&ファングメインの話。流れとしては、

ヴァニラ&ファングが目覚めてコクーン探検。
→追われてバラバラになったファングがシド(騎兵隊)に保護される。
→ヴァニラがファングと共にグラン=パルスでルシになったときのことを回想。その後パージ列車へ。

これ本編にいれてないとかありえない。グラン=パルス組が好きなひとは必見。なんでファングさんがあんなにヴァニラ大好きっ子なのかやっとわかった。命の恩人だったのか。

とくに「STRANGER -異邦-」は2人のジェネレーション・異文化ギャップがとっても楽しい。この部分だけで600年後の外国に行ったタイムトラベラーが文化の違いにあたふたするSF小説として成り立ってます。

大学生にナンパされただけなのに、食事を断るというのは「宣戦布告」を意味するからとしょうがなくつきあうとか、「大学生」という単語がわからなくて「『だいがく』が地名で村や郷にあたるのが『せい』に違いない」と勘違いするとか、読んでいて吹きました。このふたり、徹底的にズレている。

ぶっちゃけこの小説の80%くらいがふたりのいちゃいちゃなデートでできています。だがそれがいい。

ちなみにこの小説のせいでファング&ヴァニラのキャラがさらに立ってしまい、正主人公ライトさんの影がますます薄くなってしまうのが欠点。ライトさん好きなのに……。

ライトニング:倒すとヴァニラに近づける! それでどうだ!
ファング:燃えること言ってくれるじゃねーの!

ここが好き。ライトさんすてきな策士。

まあ、FF13はファングさん主人公・ヴァニラさんヒロインでいいよもう。FF13-2が出るようなので、ライトさんはそっちで救ってあげてください。

FF13-2、ライトさんが歌って踊ったりはしないと聞いてちょっと残念……。

ファイナルファンタジーXIII アルティマニアオメガ (SE-MOOK)さらにアルティマニアΩの話。

なんでこれ本編に(ry

オーファン戦からEDまでの流れがようやくわかった。

とりあえずファングがヴァニラを攻撃しようとした理由、ライトたちシ骸復活の謎、オーファン倒してどうする気だったのかがわかってひとあんしん。考えなしにノリで倒したのかとおもってた

これをもっと本編でわかりやすく演出してくださいよ。

それと女神エトロ関係は本編に結構からんでいるから、もっとちゃんと描くべきだったと思う。こんな重大なものをFF13-2・Versus・零式までひっぱるというのはちょっと……。

ぶっちゃけFF13のストーリー、あんなにむずかしくすることなかったと思うんだ。ドラえもん新・鉄人兵団を見た私としては、「コクーンとパルスの人間はお互い悪魔だと教えられてきたのに、会ってみたら普通の人間じゃないか。情報操作して争いを誘発している聖府とファルシぶっつぶす!」ではダメだったのかと。

ファングをリルル、ヴァニラをピッポポジションにおけばばっちしじゃないですか。(新・鉄人兵団のほうが公開が後というのは置いといて)

なんか文句ばっかりですが、インタ版・小説版・アルティマニアΩを組み合わせればFF13は普通に好きです。なら最初っからセリフをインタ版準拠にして小説版を本編にいれてΩの解釈をみんなにわかるように演出しなさい!

ドラえもん めいわくガリバー/ウワサののび太

2011/5/20 わさドラ めいわくガリバー/ウワサののび太 の感想です。

山本周五郎賞の発表待ちをしていたら、児玉清さんがお亡くなりになったとお知らせ。文庫版図書館戦争の有川浩×児玉清対談、まだ続くはずだったのに!(対談は全部終わってるっぽいので、載るとは思うけど……)

ダ・ヴィンチ5月号の図書館戦争特集をのぞきにいったら瀬名秀明×辻村深月対談があって驚いた。

その辻村深月さんは山周賞ならず。吉川英治文学新人賞受賞・推協賞短編部門ノミネートと最近よくお名前を見ます。『凍りのくじら』が合わなかったのでスルーしていたけど、もういちど、チャレンジすべきなのか。

そして瀬名秀明さんの『BRAIN BALLEY』が当時吉川新人賞と山周賞にノミネートされていたことを知ってこれまたびっくり。「こんなの小説じゃない!」と思いつつ……じゃあなんなのと聞かれるととても答えに迷う。まあどっちでもいい。おもしろいことは正義。:『BRAIN VALLEY』感想

瀬名秀明もついでに真保裕一も、登場人物が悩む内面重視な中期の作品より、取材で得たものを全部ぶっこんで小説っぽくした初期作品のほうがおもしろい。もっとも、こんなことをいったら「小説」を読んでくれないと真保さんに怒られそうだ。

ちなみに真保作品は『ホワイトアウト』で吉川新人賞、『奪取』で山周賞(と推協賞)です。両方とも、楽しいよ。

めいわくガリバー(原作:36巻)
脚本 清水東/絵コンテ 山岡実/演出 吉野芙紀/作画監督 嶋津郁雄


この地球上に小人の島なんてないからね。

嘘だッ!

島じゃないけどアマゾンに小人族の集落が(ry

普通の人間なのにほかの惑星に漂着してヒーローに! というところは微妙に宇宙開拓史や小戦争を連想。

原作のガリバー物語は歓迎されて敵をぶったおすのに利用されたあと、うとまれて殺されかかるとっても現実的な話なわけですが、なんで絵本だと違うのだろう? 私は子ども向けの話は読んだことないんですけどそうなんですよね?

ちなみに原作は原民喜訳のものが青空文庫から読めます。昔の訳なのに読みやすいいい訳だな……。

この手の古い本になればなるほど翻訳者が当時の時代背景とかきちんと調べてくれて、翻訳という解釈にいれてくれるから原著読むより楽なんじゃないかしら。研究などで原作を踏まえなきゃならないとかなら別ですが。

英語ができないからひがんでるわけではないです。本をたくさん訳してくれる日本最高。

もっとも、この手の資料集めに金がかかって翻訳者はもうからないといっていたの誰だったかなあ。山岡洋一先生か鈴木主税先生だったと思うのだが。未来の翻訳コンピューターは資料本を自分で読めるようになるのですね。なら人間いらなくない?

完全自立稼働ロボットがいる時点でこんなのつっこむのは野暮か。

私はこの話をボランティアをするときは受け入れ体制を確認して相手が望んでいることをするようにしましょう、ととりました。えーなにこの地震関連。もしかしてスウィフトとおなじく時事ネタな社会風刺ですか?

絵コンテは一年半ぶりに山岡実さん。ドラの表情がいつもと違うようにみえたのは山岡さんのせい? 序盤でドラの顔をいじっているときの絵がおもしろかったです。

本作が気に入った方は同作者のSF短編「超兵器ガ壱号」もどうぞ。

ウワサののび太(アニメオリジナル)
脚本 藤本信行/脚本協力 富永淳一/絵コンテ 西田健一/演出 吉野芙紀/作画監督 遠藤良恵


きみがウワサののび太くーん? まあ、月形まる代さんも知ってたし。2008年の「のび太の出会いカタログ」は月形さんが変貌しててとてもよかった。そういえばこの回でもちこく回数を誤解されていたみたい。ウワサは変わってなしと。

スパイがあらわれるのはパーマンのまね? パーマンって結構あやしい話あるよな……。スパイに夕陽のなかおっかけまわされるところが綺麗でよかったです。

ところで、もしかしてこっちも地震な社会風刺なんですか? あることないこと広まっていくのって、ほんと迷惑ですよねー。もう震災のデマ検証本がでたのか……はやいな。:荻上チキ『検証 東日本大震災の流言・デマ』

次回5/27の放送は「カワウソのび太の大冒険」です。
カワウソというチョイスがいいですね。犬はそろそろあきた。

『小説新潮 5月号』Story Seller 2011

小説新潮 2011年 05月号 [雑誌]「Story Seller 2011」が入っているということと、東日本大震災のときの福島のようすを描いた彩瀬まる「川と星」の評判がよかったので『小説新潮5月号』を購入。

@editor_of_SSさんが有川浩恩田陸近藤史恵道尾秀介湊かなえ米澤穂信という執筆陣の名前をださずにほのめかすくらいにとどめていたところに、大森望さんがとっととバラして、それを新潮文芸さんがリツイートしたのに笑ったのはたぶん私だけ。

で、さっそくネガティブな感想ですが、有川浩は地雷きたので回避推奨します。これはやってしまった感が。

「二次元規制についてとある出版関係者たちの雑談 R-18」というタイトルの時点でとてもイヤな予感がしたけど、やっぱり単なる反対な自己主張並べただけのプロパガンダにしかなっていない。こんなの小説じゃない。

それなら図書館戦争のほうがずっとおもしろい。「陰部」という放送コードをめぐる作家と出版社の争いが最初8ページにわたって繰り広げられる『Story Seller 3』の「作家的一週間」もなかなか。こちらの規制反対はネタとしての側面が強いしね。

新潮もよくこんなの載せたよ。逆に他の作家が他の出版社でこういう作品を寄稿してボツにされたあと、その作家が「条例だ規制だ」とバッシングするようなことが仮にあれば、東京都や出版社はかなりお気の毒だと思った。

有川浩といい、山本弘といい、この2人は憤ってヒートアップするとダメダメ。(変なところまで似ないでください……) 規制ネタなら、小説として成り立っていておもしろい伊藤計劃やNOVA2の恩田陸がいいです。『1984年』は冷戦が背景にあってさすがにちょっと古い。
山本弘『アリスへの決別』感想, 伊藤計劃『ハーモニー』感想, 『NOVA2』感想

以下他作家のひとこと感想。

今回初参加の恩田陸は「ジョン・ファウルズを探して」 イギリスの作家ファウルズの評論で、小説ではないです。(こっちは純粋な意味で) 8ページと短め。

近藤史恵はあいかわらずのサクリファイス外伝「トゥラーダ」 SSの外伝シリーズの中では一番いまいち。サクリファイスファンなら楽しめるのかな? ちなみに私はサクリファイス既読、エデン未読です。

有川浩を含めたこの3人が微妙なのが今回かなり痛い。恩田陸さんは評論だからともかく、有川さんと近藤さんはSSシリーズでそれなりのクオリティだっただけに惜しい。

そうなると期待はほかの3人。まずは湊かなえ「約束」 SS3に引き続きトンガの話。キリスト教的な雰囲気がよかったです。

そして、SS1から再登場の道尾秀介「暗がりの子供」 これはいい。幻想的かつホラーチックな雰囲気がGood. SS1収録の「光の箱」とセットでどうぞ。

しかしトップは米澤穂信「万灯」 バングラデシュを舞台にしたミステリ。米澤さんはSS1・3でも一番好きな作家だったのに、他の作品読んでいないのでこれは購入しなければ!

となるとSS2の「リカーシブル──リブート」はなんであんなに尻切れトンボでダメなんだよと調べてみたら、未刊行の長編作品の冒頭だったことが判明。それはちょっと反則じゃないですか。

なんだかんだいって実質4がでたStory Sellerですが、今回はいつもよりはずれ率が高い。道尾秀介・米澤穂信の2人を狙っている方ならすすめられるけれども、有川浩・近藤史恵狙いの方は避けたほうが無難かもしれない。

関連記事:
この米澤穂信がすごい! 分野別書籍リスト
『さよなら妖精』
タグ: 本・SF

ドラえもん 落とし物つりぼり/ありがたみわかり機

2011/5/13 わさドラ 落とし物つりぼり/ありがたみわかり機 の感想です。

おおっ! 21エモンとパーマンのDVDがでるんですね。21エモンは買います。全然見たことないので楽しみ。

山岸真先生のTweetで知ったのだけど、瀬名さんの『ロボット・オペラ』ってアンソロジーだったのか。図書館で一章だけのぞいてきたけどこれすごい!

ついでに本屋で瀬名さんの『世界一敷居が低い最新医学教室』をのぞいてきたら、じつにおもしろそうな件について。そのうち2冊とも読んでマイメリのネタや考察に使えればいいなー。

落とし物つりぼり(原作:32巻)
脚本 水野宗徳/絵コンテ・演出 八鍬新之介/作画監督 丸山宏一


バケツをドラのせいにされてひがむドラちゃんやつりに飽きるのび太、2人がまちかどでごっつんこなど、細かいアニメオリジナル描写がほほえましい。

これらはなくてもまったく問題ないんだけど、これをつけたすだけで2人の仲よし度が結構上がる。こういうのは地味に効果があると思う。

ありがたみわかり機(原作:19巻)
脚本 相内美生/絵コンテ・演出 八鍬新之介/作画監督 をがわいちろを


前から思っていること。「空気」が消えたら真空になってすぐに死ぬのでは……。(小川一水『天涯の砦』の真空描写はトラウマだから思いださせないでっ!) 消すなら「酸素」じゃない? どちらにしても、もがき苦しんでいるのび太を尻目に普通に説教してるドラちゃん鬼畜。

見た目は食べ物のありがたみをわからせる話。でも、チンプイの「苦しい断食祭」なんかを見るかぎり、私は単なるギャグ話だと思うんだけどねえ。年寄りの説教をあまりよく描いていない感じだったし、空腹の苦しみがリアルに描かれているかというとそんなこと全然ないし。

それはおいしそうな食べ物で描いているつもりなのかな? ……たしかにおいしそうだった。おでんがいい! 車でぐっしゃりは私もショックを受けてしまった。

ただ、そのあと「おつゆ」があったまったから……、というセリフがなかったのが私的に残念だった。おつゆってことばがいいんだよ! そのかわり、ママがお茶を入れるところはなごむ。

原作どおりなのはAパートと同じ。が、こっちのほうが作画のせいか見ていて楽しかった。をがわさん担当回は好き。

次回5/20の放送は「めいわくガリバー」「ウワサののび太」です。
現実的なガリバー物語。

J・G・バラード『楽園への疾走』

楽園への疾走 (創元SF文庫)バラードはあと『結晶世界』「砂の檻」のみ既読。丁寧すぎる描写がどうにも苦手で避けていた作家なのですが、

巨大な自然災害や放射能の不安。そんな中でのお勧め作品(?):【蝸牛の翅(かたつむりのつばさ)】

こちらのレビューを読んで興味がわいたので購入。本をあけてびっくり。読みやすい。調べてみたところ、後期バラードは結構読みやすい本も多いらしい。初期作品を読んで避けていた方は再チャレンジしてみてもいいかもしれません。

まあ、訳のひどさのせいで『結晶世界』があまり楽しめなかったのもバラードをあまり読んでない理由のひとつなんだけど。『結晶世界』は代表作ですが、正直初バラードにはおすすめできません。一方で『楽園への疾走』 担当の増田さんの翻訳はとても読みやすいので大丈夫です。訳されたのが2006年と新しいですし。

内容ですが、この本、最悪です。(褒め言葉)

あらすじは、

動物保護団体で活動している医師バーバラが、賛同者をつれて保護区を島につくることになった。しかし、孤立したその島で、怪しい死に方をする人たちが続発。もしかして、殺人者がこの島にいるのでは…?

というじつに定番ミステリー。しかし破滅した世界を描くことで有名なバラードですから普通のミステリーにならないことなんて、バラードを知っている方なら百も承知と思います。ほとんど読まない私でも予想できますそんなの。

しかし。上のレビューを読んでまあとりあえず市民団体のゆがみを描いた作品なんだなと思った私はバラードを甘く見ていた……。もしかして「更にうんざりできます」ってそういう意味ですか! もはやこれ自然保護というイデオロギーがどうのとかそういうレベルじゃねーぞ!

ということで、イデオロギーに固執する恐怖を超える恐怖を味わいたい方におすすめします。宗教じみた行動の恐怖を描く作品はたくさんありますが、バラードは余裕でその斜め上を行っちゃいます。バラードすごいよバラード。

そういえば、バラード『殺す』の文庫、4月に出ると思ってたけど……延期? バラードは文庫版の表紙がほんときれいなので出てほしい。

今月は魅力ある新刊が多いですね。私はとりあえずNOVA4・小川一水・バチガルピ・R.C.ウィルスン狙いで行きます。
タグ: 本・SF

ドラえもん こんなしずかちゃんイヤ!

2011/5/6 わさドラ こんなしずかちゃんイヤ! の感想です。

アジャストメント―ディック短篇傑作選 (ハヤカワ文庫 SF テ 1-20)フィリップ・K・ディック短編集『アジャストメント』、チョイスがすごくいいなあ……。ディック短編集で一番といっても過言ではない。ディック最初の一冊ならアジャストメントをおすすめ。

私が生きている間にディック短編全集とかないですよね。ないですね。わかってる。

あと創元さんは1998年時点で「近刊」だった"Vulcan's Hammer" "The Crack In Space" "The Ganymede Takeover" をはやくだすこと。"Dr. Futurity"(未来医師)が10年かかって訳されたんだから、あと3作もでると、私、信じてる!

こんなしずかちゃんイヤ!(アニメオリジナル)
脚本 清水東/絵コンテ 誌村宏明/演出 パクキョンスン/作画監督 志村隆行・田中薫


スタッフクレジット見て驚愕。演出にまさかのパクさん。わさドラ初でしょ? これに一番びっくりしたわ。パクさん担当だった大山ドラAJIのOP演出、大山ドラ歴代OPで一番好きです。あとエスパー魔美、とても楽しませていただきました。途中で魔法少女マミのテーマが流れたのはパクさんつながりですか。そんなわけないか。

しずかスペシャルは毎年なにげに鉄板。去年の「しずかちゃんとおじいの木」なんて2010年トップ級だった。だから今年もきっと、と思ってたら大当たり。いつもと違って感動系ではなかったけど全然OK.

表情がくるくる変わるしずかちゃん、一枚絵で見ているだけで楽しい。それにプラスしてかかずさんの演技がもうすばらしくて。

音楽の演出もよかった。江戸っ子しずかちゃんで流れる、普段のしずかちゃんにはあまり合いそうにないノリノリの曲、泣き虫しずかちゃんで流れる微妙に古くさい曲、そして魔法少女マミ。前半部、演出に絵に声優に音楽に、最高じゃないですか。

そして一転ホラーテイストの後半部。コピーロボットが自分を襲う、定番ですな。そしてコピーロボットのほうが本気で自分を本物と勘違いしたり、逆に本物のほうが自分のことをわからなくなる展開があればばっちし。ダメですかそうですか。ここでディック「にせもの」ですよ。(アジャストメント収録!) 

へんなツボ、と投げ捨てるしずかちゃん。ジャイスネは普段なら「へんなツボー!」と笑うんだろうに、どんびきの2人はなんだかんだいって優しいんだな、と思った。というか一番ひどいのはドラだといってみる。「えっ、いぬなの。へただなあ」

ところで、あの牛乳瓶を見てヤマザキマリ『テルマエ・ロマエ』を思い出したのは私だけでしょうか。公式サイトでその一話が見られます。……私が一番ひどいですね、わかってる。

コピーロボットが救われなかったのが残念だったけど、30分であれ以上は無理だと思うので問題なし。とりあえずパクさん復帰がうれしかったです。またきてください。

次回5/13の放送は「落とし物つりぼり」「ありがたみわかり機」です。
クウキといってごらん。

第一次KID戦争

なんかKID関係が大変なことになっているとか。

code_18 vs ルートダブル vs ロボティクス・ノーツ vs 水月弐 vs Ever17 vs DUNAMIS15 ですか? なんか前より3つも増えてる!?

そして、どう考えてもcode_18が一番弱い。integralシリーズは無かったことにされたのですか。それは打越さんがかわいそうです。

一方で打越さんのライバル中澤さんのルートダブル大丈夫かな……。

そしてEver17。すべて新規作成でリメイクってすごい。田中優役の下屋さんがなにげに職人技決めてたけど、またやってくれるかな? ワカチャタデェ~ス♪ ワカチャタデェ~ス♪ ワタシ、ワカチャタデェ~ス♪

いまさらだけどマイメリファンでNever7をやってないひとはやっといてね。私はあまり好きじゃないんだけど、とりあえず松岡分の補充のため。ばびりんこばびりんこ。

……ダメだ。電波だ。やっぱりKIDはなつかしい。

しかし、倒産からかなり経っているにもかかわらず、新作について語りながらメモオフだinfinityだマイメリだと語れるKID民はすごいと思う。ということでメモオフもinfinityもマイメリもどうでもいいからMonochromeとErdeの続編をですね。特にErde。

だって私はErdeが好きなんだ!

無理なのはわかってる。わかってるけど言いたいの!
エナ登場シーンをビデオに撮ってたまにリピートするくらい好きなんだ。

そして、何事もなかったようにゆっくりと目を開ける。

時間にするとほんの少し前のことだったけど、今目の前で起こったことを示すようなものはなにもなかった。

目の前でゆっくりと微笑んだ彼女を除いては。
(シーンタイトル「路地裏の出会い」)

最高じゃないか。雰囲気と調和した西川さんの文章は。

そりゃー確かにErdeは名作とはいいがた……むしろ駄作一歩手前かもとは思うんだけど、西川イズム満載だし、あれこれいじれば名作になるにちがいない。

ま、無理ですね。

え、マイメリ? こっちも西川さんいないからもうダメだ。長井さんもやる気はないみたいだし、マイメリ民はあきらめろ。西川さんもARCHIBOLDさんもゴッドボイスもいない、そんなマイメリ嫌だろ!?

そういうこと。

白コショウしろこいブログで西川さんがこわれていますがあたたかーい目で見守ってあげましょう。なんだよ。ニタニタとしまらないうすわらいなんかうかべて。

工画堂はついにPC全年齢から撤退、延期を2回……大丈夫か? サイバーフロントもからんでいるからさすがに3回目はないだろうけど。しかし、code_18も延期してたりするからこの2社の連携は微妙に不安。
タグ: Qtron MyMerryMay

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