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ジャンルなんて、関係ない

ドラえもんは一見子ども向けマンガに見えるけど、実は重いテーマが設定されている話も結構あって、大人向けでもある凄いマンガなんだぜ!

というようなマニアな感想は、基本的に私は嫌いです。だって、そんなの当たり前だから。

たしかにドラえもんには「森は生きている」のようにある意味ひきこもりを題材としたような暗いテーマの話もあります。しかし、それを軽くアレンジしてエンターテイメントとして仕上げることができるのがF先生、というより作家の凄いところです。

そもそも良質な子ども向け作品が大人の鑑賞に耐えうる作品というのは普通。そして、どんな物語にも深読みすれば重いテーマはいくらでも出てくるんです。作品を書く人間の哲学的な思想は多かれ少なかれ必ず出るものですし。

上の感想の何が嫌かって、「深い」「重い」「大人」のようなキーワードを使ってファンである自分を正当化しようという意識が透けて見えることなんですよ。そうやって「軽い」ことをバカにする風潮というのは、私には違和感があります。

もちろん、重いテーマを重いまま直球でぶち抜く作品というのも必要です。ただ、そういう作品は「軽い」作品がたくさんあって、読者の入口が広い状況があってこそでして、それ無くして狭いマニア向け市場は決して成立しないんですよ。それに、重い作品ばかりある状況は私も歓迎しません。たぶん人生疲れるから。

私は子ども向け作品が普通に子ども向けと認知されていて、実際に子どもが見ているという状況こそ誇るべきものだと思っていますし、エンターテイメントがエンターテイメントとして楽しまれているという事実こそが重要だと思っています。頭空っぽにして素直に笑える、楽しめるってなんと素敵なことか。

本当に作品を認めている方はそもそも「子ども向け」なんてそんな枠にはまらずに作品に触れてるんですけどね。子ども向けだろうが好きなものは好きでいいんです。それを無理やり高尚な言葉で持ち上げようとするのは作品が好きな自分に自信のない証拠。ということで私の結論。

『ドラえもん』は偉大な子ども向けマンガである。

ちなみに「偉大」というのは私の主観と商業的な意味で。


結論出しておきながらまだ続く。かなり辛口なので藤子ファンは見ないこと推奨……って書くと読むのが藤子ファンなんですね。わかってる。いや、ひとりごとなので本当に読む必要はありません。



だいたい有名になればなるほど見てないけど知っている人が増えて誤解が広がっていくわけで。ドラに限らなければ誤解なんて私もたくさんしてるだろうし、自分は本当のこと知ってるかっこいいというのはちょっと違うんじゃないかと。

もっと極端な書き方をすると、「可哀想にw 本当のドラえもんを知らないんだなw」みたいな。そんなつもりはない? でも、とりあえず私にはそう見えるんですけど。

さらに言うと、「いまのアニメスタッフはドラえもんのこと全然わかってない! ファンは偉いんだから、ファンの言うこときかないとドラえもん潰れる!」みたいなものを凄い感じるんですが。そのような声を制作者側が意識しすぎた結果、一時期潰れたといわれるのが90年代国内SFの世界です。

しかもそれは声が大きいだけの少数派だったという説も。

しかし、野尻抱介氏によれば、一部の「ハードSFファン」の声が大きく、それが全体のバランスを崩しているようだ。(中略)だが、声が大きい以上、マジョリティの発言だと外部から勘違いされやすいことは自覚してほしい。
SFセミナー2001『SF』とのファースト・コンタクト


アニメ界でも。

ごく一部の“作画オタク”と言われている人の発言権がネットによって大きくなってしまっていることが影響しています。これは実地で体験しているのですが、そのごく一部の大きな声を現場が真に受けてしまって、あわてふためいた結果がクオリティバブルなのです。
業界が“先祖返り”している――『ハルヒ』『らき☆すた』の山本寛氏が語るアニメビジネスの現在:Business Media 誠


ジャンル関係なく普通に誰でも楽しめる作品を書いても、「こんなのSFじゃない!」と批判される世界には、制作者もそうだけど、ライトなファンもバカにされたようで居たくないよね。「こんなのドラえもんじゃない!」そういうこと。

マニアが集まって語ること自体は私は別に構わない。でも、その中でライトなファンをバカにするような空気が普通になったり、ましてや自分たちが多数派と勘違いして大声出すようになると、絶対自分にブーメラン返ってくるよ、というお話。

別件ですが。例の都条例の件で、都知事や副知事の中傷・揚げ足取りをTwitterでRTした方が複数いらっしゃったのを、私ははっきり見ました。そういう方々を信用しろと言われても、無理です。もう藤子系Twitterは見ません。(前からほとんど見てないけど)

最近、藤子情報を求めてネットを徘徊するのが苦痛になってきた……。いっそ公式情報だけ見ようか。ま、今の段階でもかなり巡回先絞ってますので、すでにファンの間で回ってる情報を自信満々で披露とかしても適当にスルーしてください。

と、いうことでもしも、もしもですけどこのブログをご覧になっている方にアニメドラの関係者がいらっしゃるのなら、速攻でお帰りください。ここはマニアの妄想ブログですから、こんなの見てはいけません。

そして、どうやったらマニアにうけるかではなく、どうやったら子どもたちにうけるかだけを考えてください。お願いします。


参考リンクといくつかコメントを。

安易な定義づけとそれを権威化・偶像化して持ち上げる傾向が、そもそもアニメやマンガの持つ多様なテーマや多彩な表現への可能性を閉ざすということにはなっていないでしょうか?
マンガ・アニメは、はたして「芸術」であるべきか?:Biting Angle


○○でなければならないという考えが表現の幅を狭めてると思うことは結構あります。それを強いているのは、ファンの側ではないかと思うことも。(アイマス2問題とか)

私も、なんでそんなにマンガに権威を与えたがるのかよくわかりません。娯楽でいいじゃないと思います。(ドラえもんを「偉大」と表現してこんなこと言うのなんですが)

こちらは新年一発目に遭遇した良エントリでした。青の零号さんありがとうございました。

SF短編臭:奇想庵
コ、コメント欄が濃すぎます。しかもまさかの上田早夕里先生が降臨。作者にSF以外の読者の声もきちんと届いていることがわかって安心しました。

最近のSF界は業界の閉鎖性に結構自覚的な印象があるので、大丈夫じゃないかな? と私は楽観的に見ています。私自身ハードSFは苦手で読みやすいライトなSFを読むほうなのですが、ハードSFファンの言動などで嫌な思いをしたことは特にないので。ライトノベル作家であることを重視してエンターテイメントに徹する有川浩といったSF作家がいることも好印象につながっています。

ちなみに私も『華竜の宮』の前段階中です。とりあえず『ラ・パティスリー』と『美月の残香』を早く買ってこよう。しかし、上田先生の著書の感想書くときはご本人がご覧になることを前提に書かなければいけないようで緊張します……。

「こんなのSFじゃない!」という発言がいかにウザいか:誰が得するんだよこの書評
マニアの声はでかいが数は少ない:FANTA-G
レンタル&プレイ中 Part.66:週間ゲームレビュー(微妙にMy Merry Maybeネタバレ)

書いてたら「原作と違うアニメドラえもんなんてありえない! 原作ドラは人生の教科書! 藤子信者じゃない!」とか言ってた昔を思い出してなんか死にたくなってきた。あのときブログとか掲示板とか書いてなくて本当に良かった……。

ちょうど上田先生が関連する話題をつぶやいていたのでリンク。まさか私の記事をお読みになったとかではないですよね。おっしゃること、まことにごもっとも。ただ、上の話は「重いのがそんなに偉いの?」という問題提起なので、このような書き方で通します。
上田早夕里(@Ued_S)/2011年01月28日 - Twilog

書き忘れがあったのでこっちに少しだけ続き。→ドラえもん のび太の町が雪山に
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[C11] トラックバックありがとうございました

はじめまして。トラックバック&当ブログの引用、ありがとうございます。

好きなジャンルに権威づけをしたい、というファン心理は納得できますが、
それに固執するあまり不自然さが感じられる、強硬な意見も散見されます。
ジャンルうんぬんより、その作品そのものが好きかどうか。
まずはそこに立ち返ってみるべきなのでしょうね。

『ラ・パティスリー』と『美月の残香』、どちらも面白かったですよ。
特に後者は様々なエッセンスの絡み合った内容で、まさしく
「ジャンル分け」のできない小説の好例です。お楽しみに(笑)。
  • 2011-01-23 22:48
  • 青の零号
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[C12]

こんにちは。『Biting Angle』さんは少し前からSF中心に拝見しています。

齋藤智裕『KAGEROU』の感想などを見ていて思うのですが、批評やそもそもけなすのが目的の感想は全然おもしろくないですね。まず、作品を見て楽しもうという目的があって、批評のようなものはあとから出てくるべきだと思います。

そういう意味で、私は記事に挙げた有川浩本人だけでなく、彼女のファンも見習っていきたいなと。見ていて純粋に楽しそうなので。……もっとも、有川浩のSF以外の恋愛ものは個人的に微妙だったりしますが。

>『ラ・パティスリー』と『美月の残香』、どちらも面白かったですよ。
……!!! ありがとうございます! 買ってきます。魚舟と火星は読んだので。ついでに前から気になっていた、青の零号さんおすすめの『マイマイ新子と千年の魔法』も借りてこようと思います。ではー。
  • 2011-01-24 21:46
  • shui
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