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J・G・バラード『楽園への疾走』

楽園への疾走 (創元SF文庫)バラードはあと『結晶世界』「砂の檻」のみ既読。丁寧すぎる描写がどうにも苦手で避けていた作家なのですが、

巨大な自然災害や放射能の不安。そんな中でのお勧め作品(?):【蝸牛の翅(かたつむりのつばさ)】

こちらのレビューを読んで興味がわいたので購入。本をあけてびっくり。読みやすい。調べてみたところ、後期バラードは結構読みやすい本も多いらしい。初期作品を読んで避けていた方は再チャレンジしてみてもいいかもしれません。

まあ、訳のひどさのせいで『結晶世界』があまり楽しめなかったのもバラードをあまり読んでない理由のひとつなんだけど。『結晶世界』は代表作ですが、正直初バラードにはおすすめできません。一方で『楽園への疾走』 担当の増田さんの翻訳はとても読みやすいので大丈夫です。訳されたのが2006年と新しいですし。

内容ですが、この本、最悪です。(褒め言葉)

あらすじは、

動物保護団体で活動している医師バーバラが、賛同者をつれて保護区を島につくることになった。しかし、孤立したその島で、怪しい死に方をする人たちが続発。もしかして、殺人者がこの島にいるのでは…?

というじつに定番ミステリー。しかし破滅した世界を描くことで有名なバラードですから普通のミステリーにならないことなんて、バラードを知っている方なら百も承知と思います。ほとんど読まない私でも予想できますそんなの。

しかし。上のレビューを読んでまあとりあえず市民団体のゆがみを描いた作品なんだなと思った私はバラードを甘く見ていた……。もしかして「更にうんざりできます」ってそういう意味ですか! もはやこれ自然保護というイデオロギーがどうのとかそういうレベルじゃねーぞ!

ということで、イデオロギーに固執する恐怖を超える恐怖を味わいたい方におすすめします。宗教じみた行動の恐怖を描く作品はたくさんありますが、バラードは余裕でその斜め上を行っちゃいます。バラードすごいよバラード。

そういえば、バラード『殺す』の文庫、4月に出ると思ってたけど……延期? バラードは文庫版の表紙がほんときれいなので出てほしい。

今月は魅力ある新刊が多いですね。私はとりあえずNOVA4・小川一水・バチガルピ・R.C.ウィルスン狙いで行きます。
タグ: 本・SF
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