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『小説新潮 5月号』Story Seller 2011

小説新潮 2011年 05月号 [雑誌]「Story Seller 2011」が入っているということと、東日本大震災のときの福島のようすを描いた彩瀬まる「川と星」の評判がよかったので『小説新潮5月号』を購入。

@editor_of_SSさんが有川浩恩田陸近藤史恵道尾秀介湊かなえ米澤穂信という執筆陣の名前をださずにほのめかすくらいにとどめていたところに、大森望さんがとっととバラして、それを新潮文芸さんがリツイートしたのに笑ったのはたぶん私だけ。

で、さっそくネガティブな感想ですが、有川浩は地雷きたので回避推奨します。これはやってしまった感が。

「二次元規制についてとある出版関係者たちの雑談 R-18」というタイトルの時点でとてもイヤな予感がしたけど、やっぱり単なる反対な自己主張並べただけのプロパガンダにしかなっていない。こんなの小説じゃない。

それなら図書館戦争のほうがずっとおもしろい。「陰部」という放送コードをめぐる作家と出版社の争いが最初8ページにわたって繰り広げられる『Story Seller 3』の「作家的一週間」もなかなか。こちらの規制反対はネタとしての側面が強いしね。

新潮もよくこんなの載せたよ。逆に他の作家が他の出版社でこういう作品を寄稿してボツにされたあと、その作家が「条例だ規制だ」とバッシングするようなことが仮にあれば、東京都や出版社はかなりお気の毒だと思った。

有川浩といい、山本弘といい、この2人は憤ってヒートアップするとダメダメ。(変なところまで似ないでください……) 規制ネタなら、小説として成り立っていておもしろい伊藤計劃やNOVA2の恩田陸がいいです。『1984年』は冷戦が背景にあってさすがにちょっと古い。
山本弘『アリスへの決別』感想, 伊藤計劃『ハーモニー』感想, 『NOVA2』感想

以下他作家のひとこと感想。

今回初参加の恩田陸は「ジョン・ファウルズを探して」 イギリスの作家ファウルズの評論で、小説ではないです。(こっちは純粋な意味で) 8ページと短め。

近藤史恵はあいかわらずのサクリファイス外伝「トゥラーダ」 SSの外伝シリーズの中では一番いまいち。サクリファイスファンなら楽しめるのかな? ちなみに私はサクリファイス既読、エデン未読です。

有川浩を含めたこの3人が微妙なのが今回かなり痛い。恩田陸さんは評論だからともかく、有川さんと近藤さんはSSシリーズでそれなりのクオリティだっただけに惜しい。

そうなると期待はほかの3人。まずは湊かなえ「約束」 SS3に引き続きトンガの話。キリスト教的な雰囲気がよかったです。

そして、SS1から再登場の道尾秀介「暗がりの子供」 これはいい。幻想的かつホラーチックな雰囲気がGood. SS1収録の「光の箱」とセットでどうぞ。

しかしトップは米澤穂信「万灯」 バングラデシュを舞台にしたミステリ。米澤さんはSS1・3でも一番好きな作家だったのに、他の作品読んでいないのでこれは購入しなければ!

となるとSS2の「リカーシブル──リブート」はなんであんなに尻切れトンボでダメなんだよと調べてみたら、未刊行の長編作品の冒頭だったことが判明。それはちょっと反則じゃないですか。

なんだかんだいって実質4がでたStory Sellerですが、今回はいつもよりはずれ率が高い。道尾秀介・米澤穂信の2人を狙っている方ならすすめられるけれども、有川浩・近藤史恵狙いの方は避けたほうが無難かもしれない。

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タグ: 本・SF
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