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シオドア・スタージョン『輝く断片』

輝く断片 (河出文庫)私は純文学に苦手意識を持っていて、実際読んでもなにいいたいのかさっぱりわからんということもしばしばなんだけど、それでも私はやっぱり純文学を含めた本が好きだし、たまに純文学に手を出す。

そうするのは、シオドア・スタージョンという作家を知っているから。

スタージョンは純文系のSF作家で、ときにわけわからん作品を書きますが、とんでもなくおもしろい。わかんないけどおもしろい。

なんでと聞かれてもだってスタージョンが書いてるんだから当たり前じゃんとしか言えないわけで。読んでると世界がおかしくなってくる。この美しく歪んだ世界に惚れてしまう。

世界じゅうにトキは五羽。野比のび太はぼく一人。もしぼくがいなくなったら……ぼくは絶滅するんだ!!
(『ドラえもん 27』「のび太は世界にただ一匹」)

という藤子F流の考えをスタージョンが訳すとこうなる。↓

おまえはヘンリーだ。神がつくりたもうたこの広大な灰緑色の宇宙の中で、いまだかつて、他のなんぴとたりとも、この特定のヘンリーであった試しはない。

どんな山も、どんな超新星も、どんなアルファ崩壊も、ヘンリー、おまえがヘンリーでしかないっていう単純な事実の非凡さにくらべればなにほどのこともない。ヘンリー、おまえはこの銀河系のこの惑星上にかつて前例のない、唯一無二の存在だ。どんな超新星も、これはほんの出発点だ。

存在するだけで、おまえは奇跡だ。(「君微笑めば」, p141-142)

なにこのひと天才じゃないの。

最初の「取り替え子」「ミドリザルとの情事」「旅する巌」の時点で超絶おもしろい!!! と思ったらこの3編が序章にすぎなくてさらに超絶びっくり。ハズレなしとかありえん。

SFとしては微妙? ミステリーとしても微妙? そんなジャンル分けに何の意味があるのかと。あえてスタージョンの作品をジャンル分けをするなら、スタージョンというジャンルでしょ。存命中に評価されなかったという事実が信じられない。

マイベストは「ニュースの時間です」 まさに言葉の魔術師。

ディックファンにもスタージョンはおすすめ。スタージョンは文学的なディック。文章が合えばハマるひとは多そうです。それとスタージョンは藤子F的なすこしふしぎ作家でもあるので藤子Fファンにも推奨。私的には、ディック・スタージョン・藤子Fで三種の神器だと思ってる。

スタージョンと藤子Fの相似点は編者の大森さんが『不思議のひと触れ』で触れていたのを一部引用したのでこちらをどうぞ。:『不思議のひと触れ』感想
タグ: 本・SF
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