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J.G.バラード『殺す』

殺す (創元SF文庫)バラードってこんなのしか書かないの(;´Д⊂) 私がP.K.ディックを読むときはいつものPKDを求めているように、バラードファンはいつものバラードだと安堵するのでしょう。

でも私、バラード読んでるとなんか生理的に気持ち悪くなるんだよなあ。創元表紙の美しいイメージと破滅的思想が混ざったドロドロした感情が直接脳の嘔吐中枢を刺激するとでもいうか。バラードあんま好きじゃないんだけど、すごいひとではある。こんな作品書くひとそういないだろ。

しかし今回紹介する作品、まずあまりにどストレートな邦題にびびる。ちなみに原題は"Running Wild" タイトル付けづらい話ではあるんですが、どっちも微妙かも。

そんな『殺す』、東京創元社のくせに630円とお手頃だよ! ページ数なんて見ないでそのままAmazonカートに入れてポチりましょう……とはちょっといえないなあ。内容においても。

いえ、あいかわらずのMadなバラードです。狂ってます。それは間違いない。

アイディアの根本はバラードらしくすばらしいものなんですが、それが昇華できていない印象ですね。ページ数が短すぎるのもあいまって、アイディアだけを見せられている感じ。

25年前(1988)ではこの話はたぶん衝撃的なものだったと思います。ですが、いま読んだところでどうかなあ? アイディア・問題提起のみ終わっているこの作品だと新たに得るものがないような気がします。バラードであればこの3倍書いてもっと、もっと深い話にできたはず。もったいない。

そういうわけで狂った世界にはまったバラードマニア以外ならあとまわしで問題ないと思います。逆にいうと安心のバラードなのでマニアは読んでいいと思います。

マニアじゃない方は『楽園への疾走』でもいかがでしょうか。これは出来がよかった。:『楽園への疾走』感想

あと感想書いてないけど『千年紀の民』もなかなか。『殺す』のテーマ(らしきもの)が気にいった方はこっちのほうが楽しめるかも。ちなみに『楽園への疾走』も『千年紀の民』もバラードにしては読みやすいので初期バラードが苦手な方にもおすすめできます。
タグ: 本・SF
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