
自分や近しい者が病気で死を意識しなければならなくなったとき、どう向き合うかというおはなし。短編集。
病気と死を扱えば話は重くなり考えさせられるのはあたりまえ、ありきたりであるという感想はとても理解できる。
一方でありきたりで身近にもないとはいえないからこそ考えさせられるという感想もあるのも当然。ただ、よくあるのは「考えさせられるけど、自分にはそんな経験は一度も無いし実際そうなったらどうするかはやっぱりわからない」ということ。
私の感想をいいます。小説としてはありきたりな話だと思います。評価は高いようだけど名作かときかれたら「?」マークがつきます。それでも胸に響くのは否定できない。そして、実生活のほうで「こんご二度目を経験することがあってもそのときどうするかはやっぱりわからない」ということです。
経験者がこういうストーリーに対してどう考えているのかはかなり興味がある。もっとも、「たとえ経験者でもそんなの人によってちがうに決まってるじゃないか」といわれたらそのとおり。人生いろいろ、人のこころもいろいろ。それでもやっぱり気になる。そういうもの。
「その日のまえに」「その日」「その日のあとで」のコンポが好きなひとが多いようだけど、私は「ヒア・カムズ・ザ・サン」に一票。
ところでこのブログの話題に関連して。私、「家族愛」をテーマとしている楠葉監督の劇場版ドラえもん作品わりと好きですよ。(周囲では評判わるいが!)
血がつながっていようがどーしようもないことがあるのは理解しているしそっちもそっちで経験者だし最終的には「自分以外は他人」というドライな考えしてる人なので、「家族なら助け合うべき」という意見に基本的に反対の立場であると付け加えたうえで、楠葉作品好きですよ。わさドラはもともとメイン5人一家が優しくなったという印象が強いしね。

重松作品で評価の高い『流星ワゴン』が好きじゃない理由はそれだな。家族ならわかりあえるという思想は嫌いなので。それなら『その日のまえに』くらい仲のよい家族を描いてくれていたほうがすっきりする。
それに、『流星ワゴン』は「さんざん過去は変えられないと煽っといてそれ!?」ともにょるオチ。一方『その日のまえに』はテーマ的には良い意味で予定調和。私はこっちのほうが好き。
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