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高殿円『トッカンvs勤労商工会』

トッカンvs勤労商工会 (ハヤカワ文庫JA)ドラマ化でちょっとだけ話題になったような気がするトッカンシリーズの2作目がはやくも文庫&電子書籍で登場。国税専門官のなかでも払ってもらう仕事つまりは取り立てをメインとする徴収官のおはなし。

前作にひきつづき、主人公は国税専門官しか公務員試験に受からなくていやいや国税に入ったぐー子。彼女のお供は怖い上司(「顔が怖いので、普通に強く言っただけでも恫喝されていると相手が感じることもあると思う」という主人公の弁に笑った)である鏡トッカン、ではあるのだけれど。今作はそんな鏡トッカンの出番が少ない。今作の評判がいまいちなのはそこなんだろうと思う。

前作の長所と短所は明らか。キャラクターが魅力的ではあったけど、文章が物足りなかったこと。一方で今作、文章力は前作よりもずっと上がってすいすい読める。しかし、キャラを見ていて楽しかったのはまちがいなく前作のほう。あちら立てればこちらが立たずでこまったもの。

私は前作の文章が大きな不満のひとつだったので、トッカン2ndのほうが好き。でも、1stが好きなひとに勧められるかというと、迷う。

文句なしに勧められるのは、1stの女の修羅場や家族の不和が楽しめたという方ですね。今作にも当然のようにあります。高殿さんのこれって、すごく作り物めいた軋轢のようには感じるのだけれど、微妙にリアルでこわい。親子の不仲は私も経験者だからよくわかる。あんな感じですよ。

ちなみに、作中で「公務員の安定」について好意的に語られてるとはいいがたいけど、家族関係が悪くて頼れる存在がないって人には重要になってくるもの。私はそれを求めた彼女を批判することはできない。そこについてもっと作品で語っていいと思うのです。

それと、今作では「法律で決まっていることなので」というのがキーワードになっているのですが、ここもっとその法律の裏をかく、もしくは法律のなかでうまく立ち回るストーリーをやらせていいと思う。有川浩あたりなら絶対やってる。

キャラクター描写は1stを見るかぎり問題ないし、文章も2ndで上達してるし、あとは2つを維持しながらストーリー構成がんばれってところかな。私はまだ読み続けますよ、トッカンシリーズ。

P.S
今作でいちばん好きなのは鏡さんにお電話して「とっとと用件を言え!」ってところで「鏡特官お元気ですか?」と聞いたところ。怖い彼に向かってよくやってくれた。だって私も気になってたもん。
タグ: 本・SF
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