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七河迦南『アルバトロスは羽ばたかない』

アルバトロスは羽ばたかない先日は宮内裕介の『ヨハネスブルグの天使たち』刊行と鮎川賞を受賞した七河迦南のデビュー作『七つの海を照らす星』の文庫落ちとなにそれすごいの週でした。宮内裕介は(たぶん)来月の電子化をまつとして、今月は前回紹介した若竹七海つながりもあり、とりあえずは七河迦南。

1作目の『七つの海を照らす星』は、いつもの東京創元社クオリティ。日常の謎にして連作短編集、派手さはないけどほんわか、でもやっぱ地味。いつもの東京創元社。でも、児童養護施設を舞台に描かれる世界がなんとなく好きになって。手をだすは2作目。

そんな『アルバトロスは羽ばたかない』、まさかの My Best Books in 2013 に入ることが濃厚になりました。6月現在でベスト2に入っています。(もうひとつは長谷敏司の『BEATLESS』) 新作出たら無条件で買いの作家にも入りました。

描写力は『七つの海を照らす星』よりもだんぜん上。やっていることは前作と同じではありますが、地味さは解消されたもようです。よくなったのは文章だけでなく構成力も同じ。現在の事件を追っていくあいだにはさみこまれる過去のターン。そこには無数の伏線がちりばれられています。そして、最後に現在に戻ったとき、そこに見えてくるものは。

ここまで綺麗にやられちゃったのはすごくひさしぶり。じつにくやしい。お見事です。

空耳の森 (ミステリ・フロンティア)3作目『空耳の森』はトリッキーな短編集。前作が好きな方は読むしかない。逆にそれだけともいえる。いや、この本もいろいろとすごいのだけど、ちょっとこだわってやりすぎた感があるかも。私は各話がつながってくる後半よりも単独で楽しめる前半のほうが好み。

それでも、すべてをまとめる表題作「空耳の森」は重要。救いのホットラインがつながるのは4作目へのサインか。私としては「あのひと」よりも瞭の再登場を期待してる。

短編としてのおすすめは『アルバトロスは羽ばたかない』収録の「夏の少年たち」と『空耳の森』収録の「アイランド」 いやそれはねーよというところふくめ大好きです。検索したら「アイランド」みんな好きらしく安心した。読み返すと、「いつかあんたを迎えに来る人がいて、もとの世界に戻らなきゃいけなくなったら、字がわからないと暮らしていけないからね」(p46)でちょっと泣く。お姉ちゃん(ノД`)

あと好きな短編は「悲しみの子」 前作でひっかかっただけに、ベースのトリック(フルネーム:光クリスティン)が解けたのはうれしかった。でも細部はわかんなかった。そこまでやるかとちょっと笑う。

あれ? なんで私、一週間で七河迦南3作全部読んでるの? というかなんでデビューから4年半で3作しかないの? こんないい作家を出さないなんて東京創元社め……。

東京創元社仕事しろ。梓崎優のリバーサイド・チルドレンはいつ出るんですか。去年出すって言ったじゃないですか! 去年も去年出すつもりだったが今年出すって言ったじゃないですか! そんな一方で鮎川賞佳作受賞から大活躍な似鳥鶏がいたりして、2人の差はなんなの。
タグ: 本・SF
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