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有川浩 『海の底』

海の底 (角川文庫)自衛隊三部作、完結。凄い凄いおもしろい! 『塩の街』で有川浩捨てなくて良かった。

若干コメディタッチなところがあった『空の中』と比較して、『海の底』はかなりハードな物語。なんと1-3メートルくらいのザリガニが襲ってきます。ヒトを食べます。想像するとかなり気持ち悪いです。

警察の火器では対応不可能なことが明らかなため、自衛隊を早く出動されなければならない。しかし、責任問題を恐れて内閣はさっぱり動いてくれません。しかも自衛隊が出られなければ米軍が日本を爆撃する恐れあり。『海の底』はいかに自衛隊を動かしていくか、シミュレーションする物語。
 
本当の主軸は潜水艦に閉じ込められた子どもたちの成長物語のほうだと思うのですが、私は機動隊・自衛隊側のほうにハマリました。

SFってホント非現実を書くことで現実を映す物語だと思います。非常識な話を描くことで、常識とは何かを浮き彫りにさせる。実際に非常事態が起こったら……この本のようなことがありえそうで怖い。フィクションなんかに逃げ込んで現実逃避するな? 違う。SFこそが現実だ。

『空の中』でも思ったけど、自衛隊やレガリスについてきっちり調べられているのがすばらしい。巻末の参考文献を見ると、作者の真面目さがわかる。アリのように真社会性があるツノテッポウエビ、学名 Synalpheus regalis というエビが本当にいるようです。調査に真摯で、読者をなめない作者には、やっぱりファンが付くよなあ。

それにしても、『空の中』と同じように山本弘の『MM9』連想した。山本さん、有川さんの影響受けたのかな? と思っていたらそうではないようで驚き。巨大エビとかそのまんま。互いに同じ特撮系のネタを参照したりしたのか。
 
山本さん「ネタがかぶっててへこんだ(笑)。しかもあっちの方が面白いし」とおっしゃってますが、ごめんなさい私もそう思います。(MM9:山本弘のSF秘密基地
 
MM9 (創元SF文庫 )
MM9 (創元SF文庫 )でもMM9もおもしろいからやっぱり読んでみてくださいね。MM9のほうは「攻撃してエビを日本海にばらまいたら生態系への影響が!」とか冷静に言ってるのが楽しかったんだけど、『海の底』はさすがに笑えない。コメディが好きな方は『空の中』を。

願わくは、『図書館戦争』の文庫化を。本棚の関係上ハードカバーは無理です。

関連記事:『空の中』感想 『図書館戦争』感想
タグ: 本・SF
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