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山本弘『アリスへの決別』

アリスへの決別 (ハヤカワ文庫 JA ヤ 6-2)以前から表現規制に反対している山本弘さんらしいディストピアもの。

『アイの物語』で見られるフィクションの独立性を重んじる山本弘節は健在なので、こちらに期待している方は購入をおすすめ。あと注目すべきは「地獄はここに」がNOVA2の宮部チック。こういうミステリーは好みです。

ただ、規制関係については特に新鮮味のない話が多いので、ディストピアや規制問題調べている方は期待するとハズレかも。説明的なセリフが多いのもマイナス。おそらくまったく規制問題知らない方のために書いているのだろうけど、ちょっとテンポが悪い。あいかわらず疑似科学批判も出ますが、「血液型」「アポロ」ネタは正直飽きました。山本さんそろそろ新しいのお願いします!

しかしこのカバー、いいのだろうか? たしかに帯があれば目立たないけど。

規制関係で他に最近のものを読みたい方は、NOVA2の恩田陸を薦めたい。地味に怖いんだよこれが。→NOVA2 感想

そういえば(未読ですが)有川浩『図書館戦争』もディストピアもの。海の底&MM9といい有川さんと山本さん結構仲良さそう。(有川浩 『海の底』 感想) ちなみに山本さんは有川ファンのようです。有川さんのほうは知りません。

ところで山本さん『エスパー魔美』好きだろ! 「アリスへの決別」といい「地獄はここに」といい魔美っぽいネタが。まあ好きなのはブログで確定してるんだけど。
『エスパー魔美』を最初から読んでます :山本弘のSF秘密基地BLOG

おそらくこの本の思想に大きく関わっているのが、少し前に話題になった東京都のあの条例でしょうね。山本さんもその件について以前ブログで言及しています
「非実在青少年」規制:反対集会に行ってきた:山本弘のSF秘密基地BLOG

症例A (角川文庫)
症例A (角川文庫)しかし、何でも規制ばかりで困ったものです。山本さんいわく自主規制のせいで精神病を小説で扱えないとのこと。(有川浩『レインツリーの国』解説より)

多島斗志之『症例A』のような小説はもう世に出ないのか……。こういうリアルな小説、探しても他にないんだよなあ。(もっとも、こんなに詳しく書ける作家が他にいるかは疑問だが) 私は『症例A』がきっかけで精神病について調べ始めたというのに。

『症例A』は統合失調症・解離性同一性障害(多重人格)・境界性人格障害といった精神病を非常に真摯に描いた名作です。おすすめ!

12/13追記 なぜか人来るのね……。都条例のせいか?
都条例関係ならjura03さんの ネット○○派 part151 東京の青少年条例のおさらい:今日の雑談 をおすすめしておきます。冷静な記事ですよ。

まあ正直なところ、この本は「まあ山本節ね!」と喜ぶ山本ファン以外におすすめするのはちょっとあれかも。やっぱりNOVA2の恩田陸のほうがいいですよ。

タグ: 本・SF
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