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言葉は力、力は言葉 ウソツキと犬神憑き ネタバレ感想


あれは、人の形をして、人の言葉を話した。では、人との差はなんだ?
(by 犬彦)


以下はゲーム ウソツキと犬神憑きのネタバレを含みます。
ネタバレなしの感想・攻略情報はこちら http://iandmeandwho.blog107.fc2.com/blog-entry-49.html


雰囲気はすばらしい。その一助となっている齋藤博人さんの音楽もバッチリ。齋藤さん、本当にいい曲を描きます。全曲当たりとはめずらしい。好きな曲は「契り」(芙蓉のテーマ)、「逢魔が刻」です。キャラも立ってます。特に気に入ったのは彩紀&芙蓉。

妖怪の話にもかかわらず、舞台設定が現代日本というのも秀逸。自然が多い田舎のなか。そこにコンビニがあったりゴミが捨てられていたりというのが普通に世界観になじんでいます。

しかし、肝心のシナリオがそれほど良くない。人と人形の違いとか、名づけと存在とか、まさに西川風ではあります。ただ、それがシナリオに生かされていたかというと??? 個別にシナリオを見ていくと、彩紀・芙蓉編はまずまずですが、他が……。あとは、ボイスがないのもマイナス。誰が話しているのかわからなくなるときがありました。


各シナリオにコメント付けておきます。シナリオは三人娘編が北島夏さん、その他が西川真音さん担当と予想します。

加筆:衣織編も北島夏さんでした。工画堂スタジオ:Twitter
衣織編の感想はそのままにしておきます。

とりあえず、初回強制BADに意味があったのには感動。

衣織編
・いささか冗長。そこまで主人公の鈍さ強調しなくてもわかるって。ただ、三人娘編とは違って文章は締まっていたような気がする。となるとシナリオ西川さんかな。自信ない。

・主人公鈍すぎ。だけど、衣織を「妹」として見るのは正しいと思う。そんなに昔から一緒に暮らしてきた存在を、異性として意識するものか? と考える私は「幼なじみの地位暴落」は自然なことだと思います。

・婚約の手紙
ずいぶん突然、まあ西川さんだししょーがないとスルーした私は重傷。これ、罠だった? なんという高度な罠だ。まあ偽物だとわかった後の展開はやっぱり西川さんなんだけどね!

・ヒマワリ、My Merry May でいう新品交換じゃないよね? まさかね。


三人娘編
・衣織編以上にグダグダすぎ。文章も展開も。もっと短くまとめられたはず。そして、主人公が鈍いのは衣織編で十分わかったのに、なんでまた見なきゃいけないの。構成下手です。

このグダグダ感覚、ゲーム『I/O』のイシュタルαルートに似てると思ったら、
(I/Oネタバレ反転→)最後ほぼ全滅して、テキトーに復活するところまで一緒かよ!

さとりが現れて心を描くところも、ライター下手です。全然心に来ない。これは西川さんではないな。羊の方舟のウォルシュ編の鬱はこれとは違ったから。

・ヒトになりたい鬼
またかよ! マイメリでもMonochromeでも似たようなのが。(MonochromeはQ'tronメインではないが) こういうの安易に描かれると拍子抜け。マイメリは上手かった。レプリスがヒトになるということを描いたのがリースABエンド。答えを一つにしないところがいいんだよ、マイメリは。

あまりつっこんでもしょうがないのですが、私はいつも気になって。ヒトになりたい○○よりも、○○になりたいヒト描いたほうがおもしろいと思うんだけど。そう考えると、このような話は安易なハッピーエンドに絶対なりえないはず。

マイメリでレゥが借りてきた絵本の結末は……。(詳しくはマイメリアペンドシナリオ「恭介の選択」参照)


彩紀・芙蓉編
・理屈っぽいテキスト、そして彩紀編ラスト。西川さんだ。特筆するところはありませんが、良かったです。ただし、両方ともラストが微妙。あのあとどうなるの?

・やっぱりボイス欲しい。芙蓉の歌聞きたい。


百夜編
・短い。そのためシナリオ担当がどちらなのかもはっきりしませんね。梵天丸いいキャラになりそうだったのに……惜しい。最初、攻略制限かける必要あるのかと思いましたが、犬彦編で納得。


犬彦編
・まず、これを公式サイトからダウンロードにしたのは完全に失敗。パスワードなんておまけ程度だと思った。S=Rもそうだったし。

・犬彦、「攻略」可だったのか!!! なんてことだ。種明かしは……特に驚きませんでした。ループかつライバルが自分というのが、KID末期の某ゲームに似てる。西川さんの長所はテキストなんだから、わざわざギミック付けなくても。

あと、話の構造自体をメタ化するのは、ゲームにおける西川さんの生かし方ではないと思います。
My Merry May では(ネタバレ反転→)ABエンドの対比、みさおエンドでその他のエンドのレゥのその後を暗示。

シンフォニック=レインでは(反転→)ファルの黒さをリセルートで示す、al fine で明らかになるフォルテールの特徴をファルルートラストにつなげる、など。トルタの内面描写は小説でも可能だから除外。


いつもは心に重くのしかかる西川さんの黒さも、今回はそれほどありません。犬彦編で「全員嘘をついている?」という疑いが出たときは、きたか!? と思ったのですが。

あとは、「ヒトと鬼の境界線」の描写がイマイチ。マイメリとErdeでわかりますが、西川さんは越えられない一線を残酷なまでに描くんです。それなのに今回は曖昧。

言葉は通じるけど話は通じない彩紀編の鬼は非常に無気味で良かった。でも、犬彦・芙蓉は内面的な修羅場なしに仲良くなって終わりですからこれはまずい。キャラクターに何回か意味深にしゃべらせている以上、ヒトと鬼との境界についてそれなりの結論は書くべき。その結論を引き立たせるのが本来Q'tron流Badエンドだったんだけど。

「理解できないものに名をつけるな」もしゃべらせるだけで終わっちゃったし。西川さん、設定から作らせるとダメなのか。全体としてのテーマが希薄というか、テーマはあるけど答えがない気がする。羊の方舟(零と羊飼い)も微妙だった。

サブストーリーの巫女になりたい子どもの話や人形を探す話は西川さんみたいで良いんだけど。西川さんはやはりサブだからこそ引き立つ方ではなかろうか。

でも、サブの『白銀のカルと蒼空の女王』(ミルスキルート)もそれほど良くなかった。ちなみにいまのところ好きな順に My Merry Maybe>S=R>My Merry May>Memories Off 2nd>Erde≧羊の方舟(零と羊飼い)>ウソツキと犬神憑き>白銀のカル

別にウソツキやカルがおもしろくないというわけではありません。(むしろ純粋なシナリオ評価ならメモオフと同じかちょっと上) しかし、西川ファン的にちょっと……。新作出すたびにどんどん下がってるな、西川節。『零と羊飼い』のぶっとんだオチがいまでは懐かしい。

タグ: Qtron
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