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ここがウィネトカなら、きみはジュディ 時間SF傑作選

ここがウィネトカなら、きみはジュディ 時間SF傑作選 (SFマガジン創刊50周年記念アンソロジー)すばらしいですね、買いです。

SFマガジン創刊50周年記念 アンソロジーの2巻。1巻の『ワイオミング生まれの宇宙飛行士』は似たような作品でしかもやたら難しい作品が結構あって私にはついていけないところが多かったのですが、こちらは当たりでした。

SFをあまり読まない方もどうぞ。(というより私自身ライトSFが好きなので、薦める作品はだいたい皆さん読めるかと) シリアスな作品からロマンスな作品まで揃っています。タイムトラベル・リプレイ・ループ・奇想など、さまざまな種類の時間SFがおさえられているのも好印象。大森さんグッドチョイス。

テッド・チャン「商人と錬金術師の門」
未来の自分を見に行ったら、お金貯めてばかりで使ってないじゃないか! なんて金の使い方がわからんやつだ。俺が持っていったほうが未来の自分のためになるに違いない!

ってなんですかこのドラえもん。このあとの展開は全然違いますけどね。テッド・チャンはよくわからない作品も結構あって合わないと思っているのですが、こんな作品も書くんだ。でも、作品自体はまあ普通かな。

クリストファー・プリースト「限りなき夏」
再読。プリーストは好きですね。長編がなんかディックっぽいんですよ。世界が歪む感覚。戦争で酷い世界になって、一番幸せな形を保って凍りつくというのはそれはそれで幸せじゃないかと思ったり。バラード『結晶世界』でも同じことを感じたなぁ。悲惨な中の美しさに惚れるとでもいうのか。

イアン・ワトスン&ロベルト・クアリア「彼らの生涯の最愛の時」
イアン・ワトスン「夕方、はやく」

ワトスンはあと「世界の広さ」を読んだことがあるのみ。でも、この3作だけで私にはわかった。このひとどこか変だ。というかですね、死んでしまったバァさん、あ、いやおばあさんと恋愛するために時間旅行とかいう発想するひとはあまりいないのではないでしょうか。主人公若いんですよ? なのに相手おばあさまですよ。これだけでなんか笑える。私だけ?

ジョージ・アレック・エフィンジャー「時の鳥」
なんとなくアンダースン『タイムパトロール』 藤子ファン流に言えば『T・Pぼん』
旅行パンフレットを見て行き先をイメージして、実際見てみるとこんなんじゃなかった! というのは普通にあることかと。

シオドア・スタージョン「昨日は月曜日だった」
来たー大好きスタージョン。……再読だけど。スタージョンって文学的なディックだと思う。この作品もディックが書きそうだよね。というか一回はこの作品と似たようなこと思った人、結構いるのでは?

H・ビーム・パイパー「いまひとたびの」
こういう上手く行きすぎの作品は好きじゃない。まあ初リプレイ作品ということもあってしょうがないか。でも、時間SFはやっぱり「こうなることはわかってるのに!」っていうどうしようもなさが欲しい。私は「リプレイ」のほうが好きです。ただ、あれ無駄に長いんだよね……。

リチャード・A・ルポフ「12:01 P.M.」
ソムトウ・スチャリトクル「しばし天の祝福より遠ざかり……」

ということでこの2作が気に入った! とっても絶望的でいい! ループを繰り返し、やめたいのに自分の意志ではどうにもならない。そうか、ループするってことは死ねないんだな。そして、ループの輪の中に死が入っていたら何度も死ぬんだ。……怖いよ。

F・M・バズビイ「ここがウィネトカなら、きみはジュディ」
イーガン「貸金庫」+高畑京一郎『タイム・リープ』 アイデンティティ保てるのでしょうか。たしかに心も身体も自分ですが、そういう問題ではないような。


時間SFといえばなぜかロマンチックなものが多い印象ですが、それだけだと私には向いてない。私は鬱なのが好きなのですよ。しかし鬱なのばかりだと心がちょっとやっていけなくなるので、やっぱりいろいろな作品を読みたい私にはちょうどいいアンソロジーでした。そういう意味では特にイアン・ワトソンが良かった。こういうバカな作品はたまに読むと楽しい。純粋なエンターティメントとしてね。次の『ポストヒューマンSF傑作選 スティーヴ・フィーヴァー』にも期待です。

ところで時間SFといえば『たんぽぽ娘』はまだですか? いや私タイトルしか聞いたことないんですが、良く聞くのですごい気になってます。調べればストーリーなんてすぐわかるんだろうけど、実際に収録されるまで待つのもまた一興、とね。

タグ: 本・SF
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