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帚木蓬生『臓器農場』

臓器農場 (新潮文庫)SF以外もちゃんと読んでるよ。読んでるんだよ! 感想書く気が起きないだけで。ということで、帚木蓬生『臓器農場』 臓器移植ものが読みたかったので手を出した一作。

無脳症児。脳に欠損のあるまま生まれてきて、すぐに死んでしまう。そんな彼らは、人間ではないのか? 彼らの臓器を取り出して他の子へ移植するというのは、倫理的に正しいことなのか?

……という話のはずなのですが。それが描き切れているかと言うとかなり微妙。中盤から病院の金がらみの犯罪が絡んできて、テーマが薄れてしまったかなぁ、と。

最後にはいやそれ法的にも倫理的にもダメでしょうな犯罪になってしまって、結局無脳症児の移植の倫理的な是非があいまいなまま終わってしまった印象があるのが残念。無脳症児は人間なのか? という問いのみで押し通してほしかった。臓器移植について倫理的な面から考えたい方にはあまりおすすめしません。

じゃあつまらなかったのかというとそんなこともなく。おもしろかったですよ。飛びぬけて良いところが一つ。ケーブルカー運転手の藤野茂が人物描写がすばらしい。昔『閉鎖病棟』を読んだときにも思いましたが、穏やかでちょっと抜けた感じのキャラを描かせると帚木先生は上手い。

それ以外は、普通のサスペンスに臓器移植という社会問題を少しだけ混ぜた娯楽小説というところです。あまり難しい話は読みたくないけど、でもちょっと賢くなった気になりたい! という方におすすめ。厚いですが、リーダビリティは高いのでスイスイ読めてしまいます。
タグ: 本・SF
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