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伊藤計劃『ハーモニー』

ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)「理想郷に倦んだ少女たちは、世界の終わりを夢見た――」

傑作ですね。これは、文句無しの傑作ですよ。
12月にしてまさかの今年No.1.
この話を読んで、魂とはなにかについて本気で考えさせられました。だって、感じたから。今は無き作者、伊藤計劃の魂を。

前作の『虐殺器官』も確かに凄かったけど、『ハーモニー』はそれ以上だった。先が読みたい! でも、ページが減るのがもったいない! という二律背反な気分にさせられた稀有な作品。雰囲気に浸っていたかったんだよ。もっと、もっと。この雰囲気がもう味わえないというのは、残念というほかありません。

命は大事。なぜそう言われなければならないのか。自分の命の行方なんて自分で決めたっていいじゃない。自殺したっていいじゃない。

そう言うことができないのは、ひとえに国家の都合が大きいのだと思う。最近は福祉国家と呼ばれる、優しい世界がだんだん広がっている。しかし、それは逆に言うと、生死を管理された世界。その世界は、本当に優しい? そもそも優しい世界って、いったい何? 

伊藤計劃は、それに一つの解を出す。

「ときどきりくつにあわないことするのが人間なのよ」(by ドラえもん のび太と鉄人兵団)
そう、理屈に合わないことをするから、人間ってすばらしい。でも――

オチ自体は確かに他の作品に使われているアイディアかもしれない。でも、違うんです。なにか違うんですよ。きっと、それは魂と呼ばれるものなのです。

まさに、文庫版の装丁通り、白い作品でした。

あとは、皆さんの目でお確かめください。私が語るのはもったいない。あえてMy Merry Maybeファンにも薦めておきます。特にリース・鏡編で幸せについて本気で考えた人はこれを読むと幸せになれるかも。
タグ: 本・SF
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